◎デモ隊は反逆罪で逮捕されたカスティジョ前大統領の解放と解散総選挙を求めている。
2023年1月25日/ペルー、首都リマ、ボルアルテ政権に抗議するデモ隊(Getty Images/AFP通信)

ペルー政府は26日、反逆罪で逮捕されたカスティジョ(Pedro Castillo)前大統領の解放を求めるデモ隊が全国各地に設置したバリケードを撤去すると宣言した。

内務省によると、軍と警察が共同作戦を準備しているという。

カスティジョ容疑者は先月7日、議会を一時的に解散し、「特別緊急政府」を設置するとテレビ演説で発表したものの、議会の弾劾投票で罷免され、同日遅くに反逆罪で逮捕された。

その後まもなく、副大統領のボルアルテ(Dina Boluarte)氏が大統領に就任した。

デモ隊はカスティジョ容疑者の逮捕に抗議し、首都ペルーや南部の都市で抗議デモを展開。一部地域で暴動に発展し、これまでに50人以上が死亡した。

ボルアルテ氏は連邦議会に総選挙を前倒しするよう求めているが、野党が多数派を占める議会はこの提案を拒否している。

内務省は声明で、「道路封鎖は犯罪であり、物流だけでなく、負傷者や病人の救急搬送にも深刻な影響が出ている」と非難した。

首都リマで活動する人権団体は今月初め、北部の道路封鎖の影響で少なくとも3人が医療機関にたどり着けず死亡したと報告した。

いくつかの地域では燃料や食料が不足する事態に発展している。

地元メディアによると、道路封鎖で物流が滞り、一部地域ではジャガイモやトマトなどの価格がこの数週間で3倍に跳ね上がったという。

内務省は声明の中で、「警察は軍の支援を受け、高速道路を含む主要道路のバリケードを撤去する」と述べている。

一方、ボルアルテ氏は25日、テレビ演説でデモ隊に「休戦」を提案したが、この演説後にリマで新たなデモが勃発した。

デモ隊はカスティジョ容疑者の解放と解散総選挙を求めている。

政府はデモを抑えるために過剰な武力を行使したと非難されており、南部の一部州の知事はボルアルテ氏に辞任を要求している。

ボルアルテ氏は退陣要求を拒否し、暴徒に落ち着くよう求めている。

ペルー最大の観光地であるマチュピチュは先週、デモが激化した影響で閉鎖を余儀なくされた。これにより、数百人の外国人観光客が立ち往生し、観光産業も大打撃を受けた。

政府は一連の抗議デモがもたらした経済的コストを現時点で21億5000万ペルーソル(約710億円)と見積もっている。

2022年12月8日/ペルー、首都リマ、カスティジョ前大統領の支持者と警察官(Fernando Vergara/AP通信)
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