◎ウクライナ軍参謀本部は6日、ロシアの一方的な停戦が発効した後も各地で攻撃が続いていると報告した。
ロシア軍は6日、プーチン(Vladimir Putin)大統領が36時間のクリスマス停戦を命じたにもかかわらず、ウクライナに対する攻撃を続けた。
プーチン氏は5日、ロシア正教会のクリスマスに合わせて6日から36時間の停戦を一方的に宣言した。ロシア正教会はユリウス暦の1月7日にクリスマスを祝う。
しかし、プーチン氏の呼びかけは前線に全く届かず、ロシア軍は東部と南部の広い範囲で攻撃を仕掛け、ウクライナもこれに応戦したようだ。
ウクライナ軍参謀本部は6日、一方的な停戦が発効した後も各地で攻撃が続いていると報告。東部クラマトルスクや南部ヘルソン市で攻撃が確認され、複数の死傷者が出ていると明らかにした。
ロシア国営メディアはウクライナ東部ドネツク人民共和国が攻撃を受けたと報じている。
ロシア国防省はウクライナが停戦を破ったと主張した。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は停戦を「隠れ蓑」と呼び、ロシアはウクライナ軍の攻撃を抑えるために停戦を勝手に宣言し、態勢を立て直そうとしていると指摘。欧米の指導者、専門家、シンクタンクも同様の見解を示している。
バイデン(Joe Biden)米大統領は「プーチン氏は息継ぎしようとしている」と述べたが、詳細は説明しなかった。。
ロシア国防省は6日、ウクライナに展開しているロシア軍部隊が36時間の停戦に入ったと発表した。
同省は声明の中で、「ウクライナ軍が攻撃を仕掛けた時のみ、反撃する」と説明していた。
停戦が発効した直後、ウクライナ全土で空襲警報が発令され、その後、南部ヘルソン市当局は消防署が攻撃を受け1人が死亡、4人が負傷したと報告した。
東部クラマトルスクでも住宅地が攻撃を受け、民家十数戸が被害を受けたと伝えられている。
東部ルハンシク州のハイダイ(Sergiy Gaiday)知事は6日、テレグラムに声明を投稿。ロシアのクリスマス休戦は罠であり、ロシア軍がテロ攻撃を仕掛けてくる可能性があるため、正教会の礼拝に出席したり、一カ所に集まったりしないよう警告した。
首都キーウのクリチコ(Vitaliy Klitschko)市長も同様の見解を示したうえで、「キーウの最低気温はマイナス11度まで低下すると予想されている」と警告し、防寒対策と節電を両立してほしいと市民に呼びかけた。
ゼレンスキー氏は6日に公開した動画の中で、「停戦は東部地域に展開したウクライナ軍の前進をくい止めたいロシアの策略であり、敵はより多くの人員と装備を前線に投入しようとしている」と指摘した。
東部ドネツク州バフムート周辺では激戦が続いているようだ。
米シンクタンク戦争研究所によると、ロシア軍はウクライナ軍を西のクラマトルスク方面に押し戻すため、この地域に部隊を集中させているように見えるという。
ロシアの民間軍事企業ワグネルの創設者であるプリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は今週、ウクライナがバフムートを激戦地に変えてしまったと発言した。
ロシア当局は停戦を継続すると主張したが、AFP通信などによると、前線近くの地域では砲撃音と爆発音を何度も確認できたという。
戦争研究所は6日、ゼレンスキー氏と同様の見解を示し、「ロシアはウクライナ軍の攻撃を抑えるために停戦を宣言し、態勢を立て直そうとしている」と指摘した。「ロシアはウクライナを悪者にするために停戦を一方的に宣言し、その隙をついて態勢を立て直そうとしているように見える,,,」
ウクライナでは12月25日にクリスマスを祝う人もいれば、1月7日に祝う人もいる。ウクライナは両日とも祝日である。
ウクライナ正教会は今年初め、ウクライナ西部の他の宗派と同様、教徒が12月25日にクリスマスを祝うことを認めると発表した。
一方、米政府は6日、ウクライナに対し過去最大となる37億5000万ドル超の軍事支援を行うと発表した。歩兵戦闘車「ブラッドレー」50台、耐地雷・待ち伏せ攻撃防護装甲車「MRAP」55台、装甲兵員輸送車「M113」100台、155ミリ自走榴弾砲18門などを供与する予定だ。
ゼレンスキー氏は米国に謝意を示し、戦闘車はロシア軍撃退と都市防衛に「違いをもたらす」と期待を示した。
ドイツも歩兵戦闘車「マルダー」の供与を決め、フランスは装甲車「AMX10RC」の供与を検討している。