◎チュヴァシ共和国はロシア連邦地域管轄区分のひとつ。ウクライナ国境からは1000kmほど離れている。
ロシア当局は20日、西部チュヴァシ共和国の欧州向け天然ガスパイプラインが爆発し、作業員3人が死亡したと発表した。
国営テレビによると、このパイプラインでは補修作業が行われていたという。国営テレビは関係者の話を引用し、「ガス供給に支障は出ていない」と報じた。
チュヴァシ共和国はロシア連邦地域管轄区分のひとつ。ウクライナ国境からは1000kmほど離れている。
事故は共和国の郊外を走るガスパイプラインの補修作業中に発生した。報道によると、作業員3人が死亡、1人が負傷したという。
このパイプラインはシベリアのガス田に端を発し、ウクライナを横断して欧州にガスを供給している。
チュヴァシ共和国政府は国営テレビの取材に対し、「復旧にかかる時間は分からず、ガスプロム社が調査に当たっている」と述べるにとどめた。
報道によると、国営ガスプロム社はこの地域にある別のパイプラインを使って欧州向けガスの供給を確保できたという。
欧州にロシア産ガスを供給するパイプラインはウクライナ横断ルートがメインとなっている。バルト海下の「ノルドストリーム1・2」は9月の爆発で大きな被害を受けた。
ノルド2はドイツ経由で近隣諸国にガスを送る予定だったが、独政府はウクライナ侵攻を受け、運用開始を見送った。
一方、スウェーデン当局は2つのパイプラインが妨害行為によって破損したとする痕跡を発見したが、責任の所在を明らかにするには至らなかった。
ロシア政府は西側がパイプラインを爆破したと非難。米企業が欧州のエネルギー危機に便乗して利益を上げていると指摘した。
米国はこの主張を退け、ロシアが自ら爆破した可能性があると指摘したが、証拠は示していない。
ノルドストリーム1は8月末に設備の問題で供給が停止されるまでドイツにガスを供給していた。独政府はガスプロム社の決定を「政治的理由でガス価格をつり上げ、不安を煽っている」と断じた。