◎ウクライナ当局は重要インフラの修理に奔走している。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領は17日、ロシア軍によるエネルギーインフラ攻撃がもたらした大規模停電について、復旧作業が順調に進み、この24時間で約600万人に電気を届けることができたと明らかにした。
ゼレンスキー氏はビデオ演説の中で、「昨日のテロ攻撃で破損した電力インフラの復旧作業が24時間体制で進んでいる」と述べた。
またゼレンスキー氏は電力だけでなく水の供給にも問題があるとし、首都キーウや西部リビウなどの主要都市も困難に直面していると警告した。
ウクライナ軍によると、16日のミサイル攻撃は侵攻開始以来最も激しく、ミサイル76発が撃ち込まれたものの、60発を撃墜したという。
キーウ、東部ハルキウ州、南部ザポリージャ州などでミサイル攻撃が確認され、広い範囲で停電が発生した。
ロシア軍は南部ヘルソン市で屈辱的な敗北を喫した後、エネルギーインフラに対する攻撃を何度も仕掛けているが、ウクライナ軍によると、16日の攻撃は以前の攻撃による損傷が回復していない中で行われたため、被害が拡大したという。
ウクライナ当局は重要インフラの修理に奔走している。
キーウのクリチコ(Vitali Klitschko)市長は17日、「暖房は市内の全世帯の4分の3、電力はおよそ3分の2で使用可能になった」と報告した。
クリチコ氏はテレグラムの投稿で、「いつ緊急停電が起きてもおかしくない」と警告し、市民に防寒対策と食料の備蓄を行うよう改めて要請した。
またクリチコは市内の地下鉄および全世帯の水道が復旧したと報告した。
一方、ロシア国防省は17日、「高精度兵器でウクライナの軍・エネルギー関連施設を攻撃した」と主張した。
同省は声明の中で、「16日の攻撃により、外国製の武器や弾薬の輸送が妨害され、さらに武器・軍備・弾薬を生産する工場も機能停止に陥った」と述べている。
現地メディアによると、17日にもウクライナ全土で空襲サイレンが鳴り響いたという。南部ヘルソン州のヤヌシェビッチ(Yaroslav Yanushevych)知事はテレグラムに声明を投稿。ロシア軍の砲撃で36歳の男性が死亡したと報告した。
またヤヌシェビッチ氏は州の西部地区も大砲とロケットランチャーによる攻撃を受け、70歳の女性が負傷したと明らかにした。
ウクライナ軍参謀本部によると、南部地域のロシア軍はドニエプル川の東岸に築いた防衛線から西岸のヘルソン市とその周辺を攻撃しているという。
中部ドニプロペトロウシク州の知事は17日、市内の集合住宅で1歳男児の遺体を収容したと発表した。この住宅は16日の空爆で破壊された。
州知事は男児に哀悼の意を表し、「恐ろしい戦争犯罪が蔓延している」と怒りを表明した。
中部クリヴィー・リフに対する攻撃の死者数は4人に増加している。当局は17日の声明で、少年の遺体を新たに発見したと報告した。
一方、ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は16日、モスクワにある「特別軍事作戦」の作戦本部を視察した。
プーチン氏はショイグ(Sergei Shoigu)国防相やゲラシモフ(Valery Gerasimov)参謀総長らと会談した。ロシア大統領府によると、プーチン氏は軍の司令官に特別軍事作戦をどのように進めていくか提案を求めたという。
ロシアのタカ派はウクライナ軍に押されている原因はショイグ氏と参謀総長にあると批判し、より強力な兵器を投入するよう圧力をかけている。