◎原告は国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの元職員と殺害されたエチオピアの大学教授の息子の2人。
エチオピアの活動家は14日、ティグライ紛争に関するヘイトスピーチを放置し、犯罪を助長したとして、米IT大手メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)に対する訴訟を起こした。
原告は国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの元職員と殺害されたエチオピアの大学教授の息子の2人。この大学教授はヘイトスピーチの標的にされた数週間後に殺害された。
原告はエチオピアのプラットフォームコンテンツ調整業務を取りまとめている隣国ケニアの裁判所に訴状を提出した。
原告はメタ社が▽エチオピアで十分なコンテンツモデレーター(インターネット上の不適切なコンテンツを監視する人)を雇用していないこと▽ヘイトを放置するアルゴリズムを採用していること▽アフリカ大陸のヘイト監視が他の地域より遅れているなどと主張している。
ケニアに拠点を置く法律家団体カティバ・インスティテュート(Katiba Institute)が原告を支援する。この団体はメタ社に対し、ヘイトスピーチ被害者のための基金を創設するよう求めている。
メタ社の広報担当はAP通信の取材に対し、「訴状を受け取っていないためコメントできない」と述べた。
またメタ社は公式ホームページに、「ヘイトや暴力を扇動する投稿を削除する取り組みを続けている」と声明を出した。「我々はポリシーに違反する投稿やコンテンツを発見・削除するチームおよび技術に多額の投資をしています。また同社はエチオピアで最も広く話されている言語で違反コンテンツを確認する機能の開発も続けています...」
エチオピア軍と北部ティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~数十万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。
双方は先月、和平協定を結んだ。
アムネスティ・インターナショナルはSNSに声明を投稿し、殺害された教授に対するフェイスブックのヘイト投稿は氷山の一角に過ぎないと指摘。この法的措置はメタ社の有害なビジネスモデルの責任を問う重要な一歩になると述べた。
AP通信を含む西側の10以上のメディアは昨年、ティグライ州を含む世界各地において、メタ社がヘイトをどれだけ放置・抑制できなかったを調査している。