◎サイード大統領は昨年7月末に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を独占した。
2021年9月18日/チュニジア、首都チュニス、サイード大統領の統治に抗議するデモ(Riadh Dridi/AP通信)

チュニジアの労働組合UGTT(チュニジア一般労働組合)は3日、サイード(Kais Saied)大統領の統治を拒否し、権利と自由を守るために戦うと宣言した。

報道によると、首都チュニスで3日に行われた反政府集会には数千人が参加したという。

集会を主催するUGTTの委員長はサイード氏の統治を拒否し、チュニジアの民主主義を守るために戦うと述べた。

また委員長は「どんな代償を支払うことになっても、権利と自由を守る」と約束した。

サイード氏は昨年7月末に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を独占した。

野党と活動家はサイード氏の強硬措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。議会は今年3月に解体された。

議会選の投開票は今月17日に予定されているが、主要野党はこれに参加せず、投票をボイコットするよう支持者に呼びかけている。選挙管理委員会はサイード氏の管理下に置かれている。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は選挙運動における公的資金の使用禁止やその他の選挙制度改革が女性の立候補を難しくしていると警告している。

しかし、有権者の大半は汚職を撲滅し、不正を取り締まると約束したサイード氏の統治を支持しているように見える。チュニジア経済はこの10年、停滞している。

組合員100万人を代表するUGTTはサイード氏の統治に繰り返し懸念を表明してきたものの、賃金と歳出削減をめぐって今年半ばにストライキを行った以外は、サイード氏の政策に表立って反対することはなかった。

10月に発足した新政権は国際通貨基金(IMF)の支援を得るために補助金削減と国営企業の再編を目指しているが、UGTTはこれに強く反発している。

IMFはチュニジア政府に以下の改革を求めている。
▽税の公平性を高める。
▽公務員賃金を抑える。
▽多くの国民に提供している補助金を最貧層限定とする。
▽社会的セーフティーネット(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する制度)を強化する。
▽国営企業を改革する。

UGTTは先月、各都市の労組にゼネストを提案したが、実現するかどうかは不明である。

2022年2月3日/チュニジア、首都チュニス、サイード大統領の退陣を求めるデモ(Getty Images)
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