◎沿ドニエストルは1990年代初頭の「トランスニストリア戦争」でモルドバから独立したと主張しているが、モルドバ政府と国際社会はこれを認めていない。
モルドバ政府は3日、大規模停電のリスクを下げる取り組みの一環として、沿ドニエストルと新たな電力協定を結んだと発表した。
首相府の報道官によると、国営電力会社エネルゴコムは沿ドニエストル領内にある火力発電所と契約を結んだという。
この発電所は先月、ロシア国営ガスプロム社がモルドバへの天然ガス供給を40%削減した後、モルドバへの電力供給を停止した。
沿ドニエストルは1990年代初頭の「トランスニストリア戦争」でモルドバから独立したと主張しているが、モルドバ政府と国際社会はこれを認めていない。
ロシア軍は分離主義勢力を支援し、平和維持活動という名目で兵士1500人をこの地域に派遣している。
ウクライナのエネルギーインフラに対するロシア軍の大規模攻撃はモルドバにも深刻な影響を与え、広い範囲で停電が続いている。
モルドバの送電系統は旧ソ連時代に形成されたものであり、ウクライナと連携している。
政府のインフラ相はテレグラムの投稿で、「この契約は大規模停電のリスクを低減させる」と述べている。
首相府によると、国営ガス会社は契約の一環として、沿ドニエストルに天然ガスを供給することになるという。
沿ドニエストルの分離主義者は2004年にこの火力発電所を民営化し、その後ロシアの国営企業に売却した。モルドバ政府は民営化を認めていない。
モルドバは他のEU加盟国と同じく、ロシア産天然ガスのルーブル建てを拒否し、深刻なエネルギー危機に直面した。
首相府によると、国営電力会社と沿ドニエストルの関係者はさらなる停電を回避する取り組みとして、来年1月~3月の電力供給についても協議したという。