◎警察は2人の死因を明らかにしていないが、遺体を調べた結果、複数の弾痕が確認されたと報告した。
メキシコ当局は2日、南部チアパス州で亡命希望者とみられる2人の遺体が見つかったと発表した。
州警察によると、2人の遺体は車の中に放置されていたという。
警察は2人の死因を明らかにしていないが、遺体を調べた結果、複数の弾痕が確認されたと報告した。
地元メディアは警察筋の話を引用し、「2人は中南米のどこかから国境を越えて入国した不法移民の可能性が高い」と報じている。身元と国籍は不明。
州警察によると、2人の遺体を乗せた車はメキシコとグアテマラの国境沿いを流れる川の近くで見つかったという。
州警察は殺人事件として捜査を進めるとしている。報道によると、車内に銃器はなかったという。
メキシコの人身売買業者は活動したい地域を支配する麻薬カルテルに上納金を収め、許可を得たうえで亡命希望者を北部の国境に送る。
専門家によると、カルテルの許可を得ずに亡命希望者を入国させた個人や団体は制裁の対象になるという。
この制裁には汚職に手を染めた警察官や政治家が絡むこともある。
警察官に目を付けられた移民が射殺されたという告発は決して珍しくない。
暴力がはびこる北東部タマウリパス州では昨年1月、カルテルの許可を得ずに入国したグアテマラ人15人を含む19人が州警察の機動隊に射殺された。
19人のうち2人はメキシコ人、1人は人身売買組織の構成員、その他の身元は分かっていない。機動隊員は遺体にガソリンをかけて燃やしたと伝えられている。
この事件に関与した機動隊員の一部はカルテルの構成員とみられる。警察は事件に関与した個人の氏名を明らかにしていない。誰かが逮捕されたか否かも不明である。
メキシコはシリアやアフガニスタンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつとされ、2006年頃から本格化した麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人と推定されている。