◎このターミナルは2カ月前に武装ギャング「G9&Family」に占領された。
ハイチ政府は8日、首都ポルトープランスにある燃料ターミナルの運用を再開したと発表した。
AP通信などによると、ターミナル内には武装警察官が配備され、ギャングの襲撃に備えていたという。
ターミナル入り口には石油タンクローリー数十台が列を作った。
このターミナルは2カ月前に武装ギャング「G9&Family」に占領された。ギャングのリーダーである通称「バーベキュー(Jimmy "Barbecue" Cherizier)」は週末、SNSに声明を投稿し、ターミナルを解放すると主張していた。
政府関係者によると、警察の監視下による給油は11日まで続き、それ以降は通常の体制に戻る予定だという。
AP通信の取材に応じたタンクローリーの運転手は、「これで飢え死にせずに済みそうだ」と語った。「お金がなくて飢え死にするかと思っていました...」
ターミナルの封鎖は中米で最も貧しいハイチに大打撃を与えた。
報道によると、8日の出荷量はディーゼル約30万ガロンとガソリン約3万9000ガロン。全国のガソリンスタンドや医療機関が燃料を待っている。
ターミナルにはガソリンと軽油約1000万ガロン、灯油80万ガロン以上が保管されているとのこと。
ハイチ政府は7日、陸軍と警察の合同チームがこのターミナルを奪還したと報告したが、ギャングとの戦闘の詳細は明らかにしていない。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは4カ月ほど前からG9&Familyなどの武装ギャングが地域の支配権をめぐって戦闘を繰り広げており、国連によると、7月中旬以降の死者と行方不明者は数百人に達し、10万人以上が避難民になった。
経済状況も悪化の一途をたどっている。米国から輸入される日用品の価格はこの数カ月で数倍に値上がりし、ガソリンの入手も困難になった。
G9&Familyは9月12日に燃料ターミナルを占領した。これにより、多くのガソリンスタンドが閉鎖を余儀なくされ、医療機関はコレラの蔓延に対処できず、数千人の患者が治療を受けられずにいる。
アンリ(Ariel Henry)首相は先月初旬にPKOの派遣を国連に要請したが、安保理はまだこの要請を決議していない。安保理は今のところ、バーベキューへの制裁を決議したのみである。
燃料供給が再開されれば、エネルギー事業社、食料品店、病院、銀行、民間企業も営業を再開できると期待されている。
アンリ政権が9月に実施した燃料価格の引き上げが維持されるか否かは不明である。アンリ氏は燃料補助金を維持する余裕はないとし、国民に理解を求めたが、ポルトープランスではこれに抗議するデモが続いている。