◎大統領府によると、6日時点で約450万人が停電の影響を受けているという。
ウクライナの首都キーウのクリチコ(Vitali Klitschko)市長は6日、ロシア軍によるエネルギーインフラへの攻撃が続いていることを受け、停電復旧の見通しが立たない場合は市外への避難を検討するよう市民に要請した。
大統領府によると、6日時点で約450万人が停電の影響を受けているという。
送電大手ウクルエネルゴ社は電力設備への過負荷を避けるために計画停電を実施している。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領によると、ロシア軍の攻撃で国内のエネルギーインフラの約40%が破壊されたという。
ゼレンスキー氏は6日に公開して動画で、「ロシアはインフラへの大規模な攻撃を繰り返す可能性が高く、戦力を特定のエリアに集めているとみられる」と警告した。
またゼレンスキー氏は国民に団結を促し、力を合わせて寒さに立ち向かうよう呼びかけた。
ジュネーブ条約はエネルギーインフラを含む民間施設への攻撃を禁じている。
クリチコ氏は地元メディアのインタビューで、「ロシアによるインフラへの攻撃はテロであり、ジェノサイドに相当する」と糾弾した。
またクリチコ氏は「プーチン(Vladimir Putin)大統領はウクライナ人を必要としておらず、ウクライナ人がいない領土を欲している」と指摘した。「あの男はウクライナ人を皆殺しにし、領土だけを手に入れたいと考えています...」
キーウの当局者は停電が拡大した場合、水道も利用できなくなると警告している。水道施設の運用にも電力が欠かせない。
キーウの冬場の平均気温は氷点下まで低下する。夜間はさらに寒い。
クリチコ氏は、「当局は水を確保するためにあらゆることを行っているが、最悪を想定して準備を進めている」と説明した。
またクリチコ氏は市民に対し、「郊外に知人や友人がいるのであれば支援を求めるかもしれないと早めに伝え、最悪の事態が起きた時に速やかに行動を起こせるようにしてほしい」と呼びかけた。
さらに、「当局は燃料、食料、水を備蓄しているが、市民もできるものは備蓄してほしい」と付け加えた。当局はロシア軍の攻撃に備える取り組みの一環として、市内に1000カ所以上の暖房完備拠点を準備するとしている。この拠点には水と発電機も用意するとした。
首相府の報道官もテレグラムの投稿で、クリチコ氏の考えに同意した。
クリチコ氏は最悪の事態を想定していると説明したが、「現時点で避難と求めるつもりはない」と強調した。
キーウの多くの市民がロシア軍のインフラ攻撃が始まった時点で最悪の事態に備えているようにみえた。
ある男性はSNSに、「荷物をまとめ、いつでも市外に避難できるようにしている」と投稿している。「水と腐りにくく栄養価の高い食べ物は必須です」