◎クルド人女性のアミニさんの死と道徳警察の暴力に対する抗議はイランから世界に広がり、イラン指導部にかつてない圧力をかけている。
イラン当局は31日、首都テヘランで抗議者1000人の公開裁判を行うと発表した。
この抗議者たちはクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんの死に抗議するデモに参加した人々とみられる。
国営イラン通信(IRNA)は司法当局者の話を引用し、「抗議デモで中心的な役割を果たした1000人が警察への暴行や公共物への放火などの破壊的行為で裁判にかけられるだろう」と報じた。
アミニさんの死と道徳警察の暴力に対する抗議はイランから世界に広がり、イラン指導部にかつてない圧力をかけている。
アミニさんは9月13日、テヘランを訪問中にヒジャブ(スカーフ)を適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。
イラン指導部は暴行を否定し、アミニさんの死を「不幸な事故」と呼んでいる。
一部地域では武装勢力が治安部隊に攻撃を仕掛けたと伝えられているが、詳細は分かっていない。
抗議デモは当初、イランで着用を義務づけられているヒジャブに焦点を当てていたが、現在は1979年のイスラム革命以来国を統治する聖職者への挑戦に変容している。
IRNAによると、司法長官は一部の抗議者が西側諸国とつながっていると決めつけ、「厳しく処罰される」と示唆したという。
イラン指導部も米国とイスラエルが暴動を煽っていると繰り返し主張している。
また司法長官は、「裁判は速やかに処理される」と強調した。
ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)などによると、治安部隊の攻撃でこれまでに民間人少なくとも270人が殺害され、数万人が負傷し、約1万4000人が逮捕されたという。
準軍事組織として恐れられているイラン革命防衛隊(IRGC)はデモを厳しく取り締まると繰り返し警告しているが、収まる気配は見えない。
IRNAによると、司法長官は抗議者の中に国家転覆を企てる不届き者がいると主張した。「裁判は転覆を企てる者を明らかにするでしょう...」
司法当局は他の州でも数百人を起訴している。その中には「地上に腐敗を広めた罪」や「神に戦争を仕掛けた罪」など、死刑に相当する罪で告発された者もいる。