◎ウクライナ政府は東部ドネツク・ルガンスク両人民共和国を含むロシアに併合された4州と南部クリミア半島の奪還を誓い、攻勢と強めている。
2022年10月16日/ウクライナ、東部ドネツク人民共和国の政府庁舎前(Alexei Alexandrov/AP通信)

ウクライナ東部の分離主義国家であるドネツク人民共和国は16日、市内の政府庁舎にウクライナ軍のミサイルが着弾したと報告し、ウクライナを非難した。

一方、ウクライナ政府は同日、南部ザポリージャ原発近くの町にロシア軍のロケット弾が着弾し、民間インフラに被害が出たと報告した。

ウクライナ政府は東部ドネツク・ルガンスク両人民共和国を含むロシアに併合された4州と南部クリミア半島の奪還を誓い、攻勢と強めている。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領は16日、定例のビデオ演説で、「ドンバスの重要地域(ドネツク州)バフムートと(隣町の)ソレダルで激しい戦闘が続いている」と報告した。

ウクライナ軍は東部のロシア軍を押し返すために、バフムート付近に前線を形成しているようだ。ロシア軍は先週、バフムートを掌握したと発表した。

ゼレンスキー氏は、「ロシア政府は給与と恩赦を見返りに受刑者を前線に送り込んでいる」と非難した。西側の情報機関も同様の見解を示しているが、事実か否かは不明である。

ドネツク人民共和国の報道官は市庁舎が攻撃を受け、天井の一部が崩れたと報告している。AP通信によると、庁舎の窓ガラスは粉々になり、噴煙が立ち込め、近くの車両も黒焦げになっていたという。

死傷者が出たかどうかは不明。ウクライナ政府はこの攻撃に関する声明を出していない。

ドネツク人民共和国の報道官とみられる男はテレグラムに、「米国がウクライナに供与した高軌道ロケット砲システムハイマースがインフラや住宅地を破壊している」と投稿した。

ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は「ロシア領に対する攻撃には厳しく対応する」と警告している。

ロシア軍は先週、クリミア大橋で発生した爆発の報復としてウクライナ全土にミサイルを撃ち込んだ。ウクライナ政府はイラン製の自爆ドローンも使用されたと報告している。

ウクライナ大統領府によると、ロシア軍は16日、東部ドンバスの前線沿いの町や村に砲撃を加え、南部ヘルソン州でも戦闘が続いていると報告した。

また同大統領府は南部ザポリージャ原発の向かいに位置する町への攻撃で、送電線、ガスパイプライン、民間企業や住宅が被害を受けたと説明している。

同原発はロシアの支配下に置かれているが、ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトム社の職員が運用している。

一方、ロシア国営メディアは16日、ウクライナと国境を接するロシア南部ベルゴロド州当局がウクライナ軍のミサイル少なくとも16発を撃墜したと報じた。

ウクライナと国境を接するロシアの州指導者はウクライナ軍が越境攻撃を仕掛けていると主張しているが、ウクライナ政府は責任を認めていない。

ロシア軍はベルゴロド州をウクライナ領への砲撃やミサイル攻撃の中継地として利用しているとみられる。

一方、ロシア当局は同州内の軍演習場で発生した銃乱射事件の調査を開始した。

ロシア国防省によると、軍演習場でウクライナへの派遣を控えた兵士2人が銃を乱射し、志願兵11人が死亡、15人が負傷したという。同省は2人を旧ソ連構成国出身のテロリストと呼び、その場で射殺されたと報告している。

2022年10月16日/ウクライナ、東部ドネツク人民共和国の政府庁舎前、親ロシア兵(Alexei Alexandrov/AP通信)
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