◎国連は女子教育の制限や基本的人権を抑圧するタリバンの政策がアフガンの経済危機を深め、貧困、暴力、孤立を拡大させると懸念している。
アフガニスタンの政府高官は27日、6年生以上の女子生徒を学校に戻すよう呼びかけた。
タリバンは全国の女子生徒を中等学校(中学校)から排除し、国際社会から批判を浴びている。
しかし、スタネクザイ(Sher Mohammad Abbas Stanikzai)副外相は首都カブールで開かれたタリバン幹部の集会で女子生徒を学校に戻すべきだと訴えた。
タリバンは昨年8月の政権奪取時に女性の権利を尊重すると約束したものの、女子生徒は中学・高校への進学を禁じられ、女性はブルカ(目以外を覆うイスラム教のヴェール)の着用を義務付けられている。
タリバンは女子生徒のための学校を開設すると主張しているが、開設時期は明らかにしていない。
国連はこの禁止令を「恥ずべきもの」と糾弾している。
スタニクザイ氏は演説の中で、「教育は差別なく、すべての人に提供しなければならない」と呼びかけた。
またスタニクザイ氏は「イスラム教は女子教育を禁じていない」と強調した。「女性も教育を受けなければなりません。そして、イスラム教は女子教育を禁じていません」
スタニクザイ氏は女性に多くの機会を与え、政府と国民の間にある溝を埋める必要があると訴えた。
タリバンの穏健派は旧政府と同じような体制で国を運営したいと考えているとみられるが、強硬派はイスラム法に基づく男尊女卑国家の構築を目指している。
スタニクザイ氏が強硬派を動かせるかどうかは不明だ。
スタニクザイ氏は2020年のドーハ合意につながる事前協議でタリバン交渉チームの長を務めていた。
国連は先週、6年生以上の女子生徒を学校に戻すようタリバンに改めて要請。タリバンは新教育相にアガ(Habibullah Agha)氏を任命した。
後任のムニール(Noorullah Munir)教育相代行は女子教育に否定的だった。西側の専門家はアガ氏が何かしらの改革を行うと期待している。
国連の推計によると、学校に通えない女子生徒はこの1年間で100万人を超えた。
米国を含む西側諸国はアフガンにある程度の人道支援を提供しているが、その資金・物資はタリバンではなく国連などの国際機関を通じて提供されている。
国連は女子教育の制限や基本的人権を抑圧するタリバンの政策がアフガンの経済危機を深め、貧困、暴力、孤立を拡大させると懸念している。