◎トルコの金利は米国に比べるとはるかに高いが、インフレを抑えることはできず、消費者ローンや住宅ローン金利を押し上げ、経済に悪影響を与えている。
トルコの中央銀行は22日、先月の消費者物価指数(CPI)が80%に達し、目を見張るようなインフレが進行する中、主要政策金利を引き下げると発表した。
中銀は金利を1%引き下げ、12%とした。トルコリラは22日終値で1ドル=18.38トルコリラ(143円)で取引され、昨年末に記録した18.36を上回った。
トルコの通貨安は一連の経済危機で購買力が低下している国民にさらなる圧力をかける可能性が高い。
トルコの金利は米国に比べるとはるかに高いが、インフレを抑えることはできず、消費者ローンや住宅ローン金利を押し上げ、経済に悪影響を与えている。
トルコ中銀は高金利がインフレを引き起こすというエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領の異端な信念に従い、金利を引き下げたとみられる。8月のCPIは高金利にもかかわらず、前年同月比80.21%増となった。
エルドアン氏は今週放送された米PBSニュースのインタビューで、「インフレは脅威ではない」と語った。「一部の国は8%や9%で大騒ぎしています。トルコは80%です」
またエルドアン氏は「燃料や食品の在庫は十分。インフレもコントロールできる」と主張した。
米連邦準備制度理事会(FRB)を含む世界の中銀は真逆の対応を取り、金利を引き上げている。ただし、欧米の金利はトルコに比べるとはるかに低い。
FRBは21日に3回連続となる0.75%の利上げを発表し、スイス銀も過去最大の利上げに踏み切った。イングランド銀行(英中銀)も0.5%引き上げている。
今月公表されたトルコの公式統計によると、年間インフレ率は主要20カ国(G20)の中で最悪だった。
しかし、一部の専門家によると、トルコのインフレ率は中銀の発表よりはるかに高いという。独立系メディアも同様の見解を示し、「政府の統計機関と中銀がつながっていることで、独立性が損なわれている」と批判している。
中銀は昨年、金利を19%から引き下げた。その結果、トルコリラは売られ、1ドル=18.36(142円)まで値下がりした。
これに危機感を示したエルドアン氏は特別措置を導入。ドルをリラに換えて預金口座に入れれば、金利に加え、ドルに対して値下がりした分も戻ってくるとした。この発表後、リラは11.09まで反発した。