◎ユーロプライドは欧州各国で持ちまわり開催されており、今年はベオグラードで行われる予定。
2022年8月28日/セルビア、首都ベオグラード、LGBTQ集会に反対する抗議デモ(Darko Vojinovic/AP通信)

セルビアの野党とLGBTQ+(性的少数派)を支援する団体は28日、ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領が欧州最大の同性愛者の祭典「ユーロプライド」の開催を許可しないと発表したことに猛反発した。

ブチッチ氏は27日の記者会見でユーロプライドの主催者にイベントの中止または延期を求めると発表した。

ユーロプライドは欧州各国で持ちまわり開催されており、今年はセルビアの首都ベオグラードで行われる予定(9.12~18)。第1回は1992年にロンドンで開催された。

LGBTQ+を支援する多くの団体がブチッチ氏の勧告を拒否し、警察がイベントを許可しなくても強行すると表明している。

ブチッチ氏はコソボ問題やロシアのウクライナ侵攻による食料・燃料価格高騰などへの対応を優先しなければならず、ユーロプライドの警備に時間を割く余裕はないと主張している。

セルビアの国連事務所はブチッチ氏の決定に懸念を表明し、「セルビア憲法は集会の権利を保障している」と指摘した。

また同事務所は「ユーロプライドは社会的公正、平等、連帯、友情、愛に基づいた強く進歩的な社会の礎を祝う機会である」とし、ブチッチ氏に再考を求めた。

ユーロプライドの主催団体「European Pride Organisers」は3年前、保守的な正教会の影響を強く受けるセルビアのLGBTQ+の権利向上と進歩を願い、開催地に選んだ。

セルビアはEU加盟を目指しているが、ブチッチ氏はロシア寄りの政策を推進している。セルビアはウクライナ侵攻を非難する国連決議に賛成したものの、西側の対ロシア制裁には参加していない。

一方、ベオグラードでは28日、ユーロプライドに反対するデモ行進が行われ、右派の教会関係者を含む数千人が参加した。

報道によると、デモを主催したのはプーチン(Vladimir Putin)大統領を「神」と崇めるバイカーグループ「ナイトウルフ」のセルビア支部。このグループを含む極右組織はプーチン氏の写真やロシアの国旗を掲げて行進した。

野党民主党の議員らはブチッチ氏がプーチン氏のように人権団体を抑圧し、「独裁者ごっこ」をしようとしていると非難している。

民主党の党首は28日、「セルビアの憲法は集会の権利を保障しており、大統領の都合でそれを禁止することはできない」とSNSに投稿した。

しかし、ブチッチ氏は決定を擁護し、セルビア初の女性首相であり同性愛者であることを公表しているブルナビッチ(Ana Brnabic)氏もこの決定を支持したと明らかにした。

ブルナビッチ氏は2年前に就任したものの、LGBTQ団体から同性愛者の地位向上のために何もしていないと頻繁に非難されてきた。

ブルナビッチ氏は27日、ユーロプライドの中止を支持すると表明し、「最も重要なことはセルビアの平和と安定を確保することだ」とツイートした。「どう転んでも、どの角度から見ても、まず優先すべきはセルビアの平和と安定を確保することです...」

2022年8月28日/セルビア、首都ベオグラード、LGBTQ集会に反対する抗議デモ(Darko Vojinovic/AP通信)
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