◎これはナチスの黒海艦隊の一部で、ソ連軍の侵攻に押され退却する際に沈んだものである。
セルビア東部のプラホボ(Prahovo)を流れるドナウ川で第二次世界大戦中に沈没した軍艦数十隻の残骸が姿を現した。
セルビア政府によると、これはナチスの黒海艦隊の一部で、ソ連軍の侵攻に押され退却する際に沈んだものだという。
この残骸は以前からドナウ川の航行に影響を与えていた。河川管理者によると、水位が下がるとしばしば姿を現すため、船舶に注意を呼びかけているという。
アフリカ大陸から流れ込む熱波はドナウ川にも影響を与えている。政府によると、プラホボ付近の水位は平年の半分以下に低下しているという。
水位低下で姿を現した軍艦は20隻を超え、さらに増える可能性がある。船内には弾薬や爆発物が残っている可能性が高いため、当局は船舶と市民に近づかないよう呼びかけている。
プラホバ付近のドナウ川の航行可能幅は100mに制限されている。従来の幅は180mである。
セルビア政府は今週、航路を確保するためのしゅんせつ工事を開始した。
政府報道官は「国内の専門業者を総動員し、しゅんせつにあたる」としている。
ドナウ川の航行が難しくなると、セルビアの発電量の3分の2を占める石炭火力発電に影響が出ると予想されている。電力会社は石炭の大半を航路で輸送しているという。
さらに、水力発電ダムの水位もこの2カ月で半分に低下したと伝えられている。
現地を視察した専門家によると、今回姿を現した軍艦の種類は様々で、砂浜に埋もれたものも確認できたという。
セルビア政府は今年3月、河川の運行に支障をきたす軍艦の一部引き揚げと弾薬や爆発物の除去を民間企業に委託した。地元メディアによると、この作業にはおよそ3000万ドル(約41億円)の費用がかかったという。