◎クリミア半島のロシア空軍基地は先週、大規模な爆発に見舞われ、戦闘機少なくとも8機が全壊または損壊した。
ロシア当局は16日、ウクライナ南部クリミア半島のロシア軍基地で爆発が発生したと報告した。
ロシア国営メディアによると、基地の武器庫で複数回爆発が確認されたという。
ロシアはこの爆発を「妨害工作」と呼び、弾薬庫だけでなく発電所でも火災が発生し、鉄道も影響を受けたと報告した。
クリミア半島のロシア空軍基地は先週、大規模な爆発に見舞われ、戦闘機少なくとも8機が全壊または損壊した。
ウクライナは空軍基地への攻撃を否定し、ロシアも弾薬が爆発したと報告している。
ウクライナ大統領府は16日、クリミア半島で再び爆発が報告されたことについて、「非軍事化に向けた動きが加速している」と述べ、爆発は偶発的なものではないと示唆した。
クリミア半島は公式にはウクライナの領土だが、2014年のクリミア侵攻でロシア軍と親ロシア勢力に占領され、住民投票の末、ロシアに併合された。
ロシア当局は16日の爆発を「妨害工作」と説明したが、ウクライナが関与しているとは明言しなかった。
一方、ロシア国営メディアはロシア連邦保安局(FSB)の声明を引用し、「ウクライナの破壊工作員は今月、ロシア国内の送電鉄塔6基を爆破した」と報じている。
また同メディアはこの破壊工作について、「ウクライナ国境近くのクルスク原子力発電所の電源を喪失させようとする試み」と報じた。
しかし、ロシアの原発運営会社ロスエネルゴアトム(Rosenergoatom)はFSBの説明に異議を唱えている。
ロシア国防省によると、16日の爆発は現地時間午前6時頃に発生したという。クリミアを実行支配する親ロシア政府の報道官はこの爆発を「草原のかなたまで届く大爆音」と表現した。
同省は声明で負傷者はいないと報告したが、現地を視察したクリミア政府の高官は、「近隣の住民2000人が避難を余儀なくされ、少なくとも2人が負傷した」と述べた。
一方、ウクライナ軍司令部は16日、この爆発をロシア兵の不注意と指摘し、防火対策を守らなかった結果と主張した。
軍報道官はオンライン会見で、「この基地は戦地にヘリコプターで機材を運んでいたため、爆発に満足している」と述べた。
ロシア軍はクリミアへの攻撃を「自国領に対する脅威」「(地方政府の)存亡の危機」とみなす可能性がある。ロシアのメドベージェフ(Dmitry Medvedev)前大統領は以前、「クリミアを攻撃すれば審判の日がやってくる」と警告していた。
ロシアはクリミア半島の基地を利用して南部ヘルソン州やザポリージャ州の一部を占領し、東部ドネツク州への攻勢を強めている。
しかし、ウクライナ軍の反撃と兵士の士気低下で作戦は思うように進まず、ヘルソン州ではウクライナ軍の反撃を受けているとみられる。また、ドネツク州の作戦も停滞しているように見える。
クリミア半島西部のロシア空軍基地で9日に発生した爆発では戦闘機少なくとも8機が破壊され、大きな被害が出たことが衛星写真で明らかになった。
ロシアはこの爆発を事故と説明したが、衛星写真が捉えたクレーターは何かしらの攻撃があったことを示唆している。英国防省はこの爆発について、「ロシア黒海艦隊の航空能力は著しく低下した」という見方を示した。
ウクライナ軍は米国から供与された高軌道ロケット砲システム「ハイマース」などの長距離兵器を駆使して、ロシア軍の拠点などを破壊しているとみられる。
ウクリアナ政府は6月以降、ハイマースでロシア軍の弾薬庫を少なくとも50カ所破壊したと報告している。南部ロシア軍の主要補給路「アントノフスキー橋(Antonovsky Bridge)」もハイマースで破壊された。
ロシアのメディアはクリミアの爆発について、ミサイルではなくドローンが使用された可能性が高いという見方を示している。