◎ロシアとウクライナの小麦供給量は世界の3分の1近くを占めている。
2022年8月1日/ウクライナ、南部オデーサ州、レバノン行き貨物船と記者(Michael Shtekel/AP通信)

ウクライナ南部オデーサ州の港を出港した貨物船が2日、トルコ領海に到着した。

ウクライナ産トウモロコシ約2万6000トンを積んだ「ラゾニ(Razoni)号」はレバノンに寄港する前に検査を受ける予定だ。

ロシアとウクライナは先月、国連とトルコの仲介を受け、ウクライナ南部の港から穀物を輸出することに合意した。

オデーサ州などの港には2000万トン以上の穀物が滞留しているとみられる。国連はこれを海外に輸出することで世界の食料危機を緩和できるとしている。

ロシアもこの協定を受け、穀物と肥料の輸出を再開した。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は2日、定例のビデオ演説で穀物取引が戦争以前の状態に戻ることを望んでいると述べた。

またゼレンスキー氏は、港を以前の状態に戻すことが政府の目標であると強調した。「私たちはウクライナの貨物船が港を離れ、海外の貨物船が港に入ってくる、当たり前の日常を取り戻すために戦っています...」

ゼレンスキー氏は穀物取引が活性化すれば、農家も来季の作付けを積極的に行うようになり、食料不足の解消につながるとした。

ラゾニ号はボスポラス海峡を通過する前にロシア、ウクライナ、トルコ、国連職員による検査を受ける。

ウクライナ政府によると、南部の港には穀物を積んだ貨物船17隻が待機しているという。

ロシアとウクライナは2ヶ月におよぶ交渉の末、7月末に協定に合意したが、合意発表から1日も経たぬうちにロシア軍がオデーサの港にミサイル2発を撃ち込んだため、履行が危ぶまれていた。

協定の期間は120日で、双方が合意すれば延長される可能性がある。

国連によると、ロシアとウクライナの小麦供給量は世界の3分の1近くを占めている。

戦争の影響で小麦、大麦、トウモロコシ、ヒマワリ油、肥料の価格は高騰し、世界規模の食料危機を引き起こした。レバノンを含む貧しい国々は食料を確保できず、政情不安による治安の悪化も懸念されている。

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