◎赤十字はドネツク人民共和国に現場への立ち入りを求め、負傷者の避難や治療を支援すると申し出ている。
ウクライナ政府は29日、東部の親ロシア勢力が捕虜収容所が攻撃を受けたと主張したことについて、国連と赤十字に調査を行うよう要請した。
ドネツク人民共和国はウクライナ軍が捕虜収容所をミサイルで攻撃し、ウクライナ人捕虜50人以上が死亡したと主張している。
ウクライナはこの主張を「偽旗作戦」と非難し、「ロシア軍は拷問や虐殺の証拠を隠蔽するために収容所を焼き払った」と糾弾した。
赤十字は収容所と伝えられている施設への立ち入りを求めている。
ロシア国営メディアが報じた映像には、炭化した二段ベッドと複数の死体が映っていた。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は29日、収容所への攻撃を戦争犯罪と非難し、「ロシアは拷問と虐殺の証拠を隠蔽するために施設を意図的に焼き払った」と主張した。
ドネツク人民共和国はウクライナ軍のミサイルが着弾したと主張している。
親ロシア勢力によると、この施設には南部マリウポリで防衛任務に当たったアゾフ連隊の兵士も収容されていたという。
ドネツク人民共和国の報道官はSNSに、「捕虜はウクライナ軍のミサイルで殺された」と投稿している。
ロシア国防省は米国が供与した高軌道ロケット砲システム「ハイマース」が使用されたと主張し、ウクライナ軍はロシアを挑発するために自国の捕虜を殺害したと非難した。
しかし、ゼレンスキー氏はロシア側の主張を否定し、この主張を「偽旗作戦」と呼んだ。
ウクライン大統領府は別の声明で、「施設は火災で焼失したようにしか見えず、ロシアは虐殺の証拠を隠蔽するために火を放ったのだろう」とした。
ウクライナ軍の参謀本部もロシアが虐殺の証拠を隠蔽するために収容所を焼き払ったと指摘し、国連と赤十字に調査を要請した。
赤十字はドネツク人民共和国に現場への立ち入りを求め、負傷者の避難や治療を支援すると申し出ている。
一方、ウクライナではロシアの支配下に置かれた東部ドンバスの別の地域でウクライナの捕虜がロシア軍兵士に去勢される動画がネット上で拡散し、怒りの声が上がっている。
要衝セベロドネツクで撮影されたとみられる去勢動画には、チェチェン共和国の兵士が映っていた。