◎アルゼンチンは歴史的なペソ安(ドル高)とインフレに苦しめられている。
2022年4月21日/ワシントンD.C.のIMFビル前、アルゼンチンのグスマン経済相(Jose Luis Magana/AP通信)

アルゼンチンのグスマン(Martin Guzmán)経済相が2日、辞任を表明した。

グスマン氏は2019年末に就任し、債務再編をめぐる国際通貨基金(IMF)との交渉を主導していた。

地元メディアによると、後任は明らかにされていないという。

アルゼンチンは歴史的なペソ安(ドル高)とインフレに苦しめられており、世界規模の食料・燃料価格の高騰が危機に拍車をかけた。インフレ率は60%に達している。

アルゼンチン・ペソは先週も売られ、「1ドル=125ペソ」まで下落した。投資家は左派政権の経済政策に三下り半を突きつけている。

グスマン氏の退任は同国の経済政策と今後のIMF交渉に疑問を投げかけるが、フェルナンデス(Alberto Fernandez)大統領は政策を維持するものとみられる。

地元メディアは政府筋の話を引用し、「グスマン氏は辞表の中で現政権が分裂に直面しているとほのめかした」と報じている。

しかし、フェルナンデス氏とキルチネル(Cristina Kirchner)副大統領が経済政策をめぐって対立していることは周知の事実である。

2007年から2015年まで大統領を務めたフェルナンデス氏は以前、「政府は国民の財政負担を軽減できていない」と述べ、自らの経済政策を批判したことがある。同氏の就任時、アルゼンチンペソは「1ドル=3ペソ」ほどで取引されていた。

フェルナンデス氏の支持者は、グスマン氏が財政赤字を削減するために厳しい経済政策を導入しようとしていると批判していた。グスマン氏の方針はIMFの意向である。

フェルナンデス氏の政策を維持するのであれば、次の経産相も厳しい現実に直面する可能性が高い。

アルゼンチンペソは歴代政権の放漫財政が引き起こした度重なる危機や2001年のデフォルトを経験したのち、2015年末に暴落した。

暴落は継続中であり、中央銀行はペソを安的させるために為替への準備介入、IMFによる金融救済プログラムなどの措置を取った。しかし、アルゼンチンの経済は低迷し、インフレ率は跳ね上がり、貧困と失業が社会問題となり、ロシア・ウクライナ戦争の影響で食料問題が悪化するなど、国民生活に大きな影響をもたらしている。

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