◎北朝鮮は2020年1月に国境を封鎖し、2年以上コロナの侵入を完全に防いだとされる。
北朝鮮の国営メディアは14日、原因不明の発熱で新たに21人が死亡し、17万人以上の発熱患者を確認したと報告した。
朝鮮中央通信(KCNA)によると、13日と14日の発熱による死者は27人、発熱患者は52万4440人に達したという。また、このうち24万3630人が回復し、28万810人の隔離を維持しているとした。
新たな発熱患者と死者からコロナが検出されたかどうかは不明である。
KCNAは13日の報道で、死亡した6人のうち1人からオミクロン株が検出されたと伝えている。
北朝鮮は2020年1月に国境を封鎖し、2年以上コロナの侵入を完全に防いだとされる。
KCNAによると、金正恩(Kim Jong Un)党総書記は14日に開かれたウイルス対策会議でこの大流行を「建国以来の大動乱」と表現し、できるだけ早く防疫を確立する必要があると関係者に命じ、国民に団結を呼びかけたという。
またキムは、ほとんどの発熱患者が隔離された地域内で発生していることを「発見」し、「他の地域に原因不明の熱病は広がっていない」という楽観的な見方を示した。
政府は都市間の物資輸送を含む人間の移動を制限する措置を講じたとされるが、KCNAによると、市民は普通に外出しているようである。
一部の専門家は北の医療体制、進行中の食料危機、コロナワクチン未展開を考えると、オミクロン株の感染拡大は大量死につながる可能性があると指摘している。
韓国ソウルの統一研究院のアナリストはAP通信の取材に対し、「北朝鮮に都市全体を封鎖し住民を自宅に閉じ込める中国のような対策を取る技術力と資源はなく、脆弱な経済にさらなるショックを与える危険を冒してまでそんなことをする余裕もない」と語った。
孤立した北朝鮮が感染症の発生を認めることは異例中の異例である。
キムは「北朝鮮こそ社会主義の理想郷である」という確固たる意志とプライドを堅持するために、西側の情報を遮断し、国民を洗脳している。
一部の専門家は、「北は援助を求めている」と指摘している。
あるSNSユーザーは、「北はまもなく金正恩が原因不明の熱病に効くワクチンを開発したと主張する」と予想した。
北朝鮮は世界保健機関(WHO)などが主導する発展途上国向けのコロナワクチン展開プログラムCOVAXの支援を拒否している。COVAXの支援を受ければ、国際機関の監視下に置かれると警戒しているのだろう。
韓国のある専門家は、「北はどの国よりも市民の死を軽視しており、外部の支援を受けるぐらいなら大量感染による集団免疫を目指す可能性が高い」と指摘している。
今週就任した韓国の尹淑烈(Yoon Suk Yeol)大統領は人道的な理由から北朝鮮にワクチンやその他の医薬品を送ると申し出たが、当局によると、今のところ北から援助要請はないという。
原因不明の熱病は先月末に行われた数万人規模の軍事パレードや金日成主席生誕110年パレードで拡散した可能性が高いと指摘されている。