◎熱病の原因は特定されていない。
2022年3月11日に北朝鮮政府が公開した写真、金正恩 党総書記と朝鮮労働党の高官(Korean Central News Agency/Korea News Service/AP通信)

北朝鮮の国営メディアは13日、数十万人が原因不明の熱病で体調を崩し、6人が死亡したと発表した。

朝鮮中央通信(KCNA)は12日の報道で、国内で初めてコロナウイルス(オミクロンBA.2)を検出したと報道していた。

KCNAは13日、4月下旬から全国に広がった熱病で35万人以上が治療を受け、そのうち16万2200人が回復したと発表した。また、12日だけで新たに1万8000人が発熱の症状を訴えたという。

KCNAによると、熱病の原因は特定されていないという。

しかし、KCNAは死亡した6人のうち1人はオミクロン株に感染していたことが確認されたと伝えている。発熱の症状で治療を受けている患者は全国で18万7800人と報告した。

北朝鮮は2020年初頭から国境を封鎖してきたが、今回の感染拡大を受け、「厳格な」ロックダウンに移行することが決まった。

KCNAは首都平壌で13日に発熱した不特定多数の人の採取サンプルを検査した結果、オミクロン株に感染していることが確認されたと報じている。ただし感染者数は公表していない。

一部の専門家は北の医療体制、食糧危機、ワクチン未展開を考えていると、オミクロン株の感染拡大は大量死につながる可能性があると指摘している。

KCNAによると、金正恩(Kim Jong Un)党総書記は12日に疫病問題に対応する施設を訪問した際、熱病の説明を受けたという。キムはその後、熱病の拡散を防げなかったとして当局を批判した。

またキムは、「熱病は首都平壌とその近郊で発生している」と指摘し、「悪質なウイルス」の蔓延を抑えるために、すべての職場、生産現場、住居を隔離し、住民に必要な支援を提供する必要があると当局に指示した。

KCNAはキムの発言を引用し、「公衆衛生の危機的状況を早期に打開し、防疫の安定を回復し、国民の健康と福祉を守ることが最も重要であり、至上命題である」報じた。

北の国境閉鎖は、数十年にわたるキム家の不作為と、核・ミサイル開発をめぐる米国主導の制裁でガタガタになった経済に追い打ちをかけた。キムは2011年の就任以来、恐らく最も困難な状況に直面している。

キムは1月、中国との鉄道貨物輸送を暫定的に再開したが、中国は先月、国境付近でコロナが確認されたとして、輸送を停止している。

日本と韓国のメディアは13日、北が弾道ミサイル3発を日本海に向けて発射したと報じた。

北で1994年~1998年頃に発生した大飢饉では、市民200万~350万人が餓死または栄養不足に関連する病で死亡したと推定されている。

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