◎中国共産党は「ゼロコロナ政策」を追求すると誓っている。
2022年4月5日/中国、上海市の仮設PCR検査所(Hector Retamal/Getty Images/AFP通信)

上海当局は10日、市内の地下鉄2路線の運行を停止した。この2路線はオミクロン株の感染拡大以降も運行を許可されていた最後の路線だった。

市内の新規陽性者はピーク時の1割程度まで減少しており、多くの住民が対策の緩和を期待していた。

しかし、国営メディアによると、当局は虎の子の2路線を停止し、市内の地下鉄を完全に封鎖した。

白い防護服を着たチームは感染者の家に入り、消毒剤を散布している。Weiboには、「PCR検査を受ける前に自宅の貴重品を金庫などに保管しておこう」などといった投稿が相次いで寄せられている。

主要メディアによると、ここ数週間買い物を許可されていた一部の地域も再び自宅にとどまるよう命じられたという。

中国共産党は「ゼロコロナ政策」を追求すると誓っており、少なくとも11月に予定されている第20回党大会までは現状を維持する可能性が高いと予想されている。今年の党大会はこの10年で最も重要な政治イベントのひとつとされ、習近平(Xi Jinping)国家主席の歴史的な3期目が決まる見込みである。

国営新華社通信は、上海南部郊外の奉賢(ほうけん)区は9日から「静穏期」に入り、住民は自宅にとどまり、商店や食料品店も配達以外は禁じられたと報じている。

AP通信によると、ある食料品店では従業員が食料を袋につめて指定の場所に置き、それを配達人が回収し住民に届けるという取り組みを行っていた。

上海から脱出することは不可能に近い。

しかし、それでも上海から脱出したい人向けの非公式ハウツーガイドがWeiboなどで広く共有されており、「封鎖を回避する方法」「列車や飛行機の座席を確保する方法」などが詳細に説明されている。

アジア最大の金融ハブである上海の住民はSNSで情報を共有し、不満を表明している。

上海の1日あたりの新規陽性者は4月中旬の25000人台から3000人台に減少している。期間中の死者は550人を超えたが、それでも欧米に比べるとはるかに少ない。

首都北京の住民もイライラしている。

北京当局は上海のような事態を回避するため、10日から数百万人を対象とする3日間の一斉PCR検査を開始した。9日の新規陽性は74人だったが、市内の地下鉄約60路線はすべて停止し、レストランはテイクアウトやデリバリーのみ許可されている。

北京当局の報道官は市内の感染状況を「停滞期」と表現し、厳しい対策を続ける必要があるとした。

北京の対策は上海ほど厳しくなく、主要メディアは「交通量は少ないが歩行者の姿を確認できる」と報じている。感染者を報告していない地域の対策は緩和された。

上海の「静穏期」に指定された地域の対策は集団検査の結果次第と伝えられている。陽性者が出た場合は期間の延長もあり得る。

上海の当局者は10日の記者会見で、感染者の自宅消毒に関する不満が多数寄せられていることを認め、住民の協力に感謝した。「感染者宅の消毒は疫病の予防と制御に欠かせません。住民の協力に感謝します...」

一方、憲法学者のジウェイ(Tong Zhiwei)氏は最近、上海市当局に対し、住民を隔離したり、家の鍵を回収したりするなどの「過剰な防疫措置」をやめるよう求める記事を投稿し、これらの措置は法治に反すると指摘した。

この記事は共産党の検閲にひっかかり、インターネット上から削除された。

2022年5月10日/中国、北京の通り(Ng Han Guan/AP通信)
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