◎インドの貧しい地域には違法物件が山ほどある。
インドの首都ニューデリーで9日、違法物件の取り壊し作業に反対するデモが行われ、多くのイスラム教徒が参加した。
当局はニューデリーのイスラム教徒が多く住む地区で違法物件を取り壊すとしていたが、数百人のイスラム教徒が対象物件を守ろうとしたため、作業を中止した。
インドではここ数カ月、反イスラム感情が高まっており、各地でヒンドゥー教徒とイスラム教徒の衝突が報告されている。
ヒンドゥー教徒が大多数を占める地域ではイスラム教徒の違法物件の取り壊しを求めるデモが行われており、多くの建物が取り壊された。
取り壊された建物は土地所有者の許可なく建設されたものとされる。
ニューデリー北西部の地区でも最高裁が中止命令を出すまで、複数の建物が取り壊されたと伝えられている。
解体業者と警察は9日、ニューデリー近郊の地区に入り、数百人のイスラム教徒と対峙した。
この地区は2019年に改正された市民権法に反対する激しいデモの舞台になった。この法律は近隣のイスラム諸国で迫害を受けた宗教的少数派の帰化を早めるものだが、イスラム教は対象から除外されている。
この地区のイスラム教徒は高速道路沿いで法律に平和的に抗議し、デモの象徴になった。
一方、当局は建物の取り壊しについて、「対象はあくまで違法物件であり、特定の宗教を対象にしているわけではない」としている。
一部の専門家は「政府はイスラム教徒の多い地区を狙い撃ちにしている」と指摘している。インドの貧しい地域には違法物件が山ほどある。
ブルドーザーの進路を妨害した男性はAP通信の取材に対し、「モディ(首相)はイスラム教徒の家を破壊し、住民を追い出そうとしている」と語った。「あの男はイスラム教徒を痛めつけ、ヒンドゥー教の強硬派の支持を得ようとしています」
別の住民は当局が突然取り壊しを決めたことに疑問を投げかけた。「この地区の建物は何十年も前から存在しています。なぜ急に取り壊しを決めたのですか?」
SNSには違法物件の取り壊しを支持する投稿も多数寄せられている。
あるツイッターユーザーは、「政府は違法物件を何十年も放置してきた」と指摘している。
当局は以前、反イスラム感情が高まったタイミングで取り壊しを本格化させたことについて、「当局は違法物件の立ち退きと取り壊しを定期的に行っている」と主張した。