◎サイード大統領は昨年7月に政府と議会を解散させ、憲法を一部停止し、自分の権限を強化したうえで暫定政府を発足させた。
3月20日、チュニジアの首都チュニスで独立記念日のイベントが開催され、数千人がカイス・サイード大統領の圧政と憲法改正に向けた取り組みが進んでいることに抗議した。
AFP通信によると、イスラム教関連団体と「クーデターに反対する市民」と名付けられた運動がデモを主催したという。
サイード大統領は昨年7月に政府と議会を解散し、憲法を一部停止し、自分の権限を強化したうえで暫定政府を発足させた。
野党はサイード大統領の措置を「クーデター」と厳しく非難しているが、多くの市民が汚職の撲滅を約束し、利権に興味を示さないリベラルなサイード大統領の政策を支持している。
チュニジアはアラブの春につながった「ジャスミン革命」で軍事政権を追放し、民主主義国家に生まれ変わったものの、経済活動の停滞や失業率の上昇などの影響で国民の不満は募り、一部の過激派は以前の体制に戻す必要があると主張している。
チュニスの広場に集まったデモ隊は議会に向かって行進し、警察とにらみ合った。報道によると、デモ隊は議会周辺で抗議し、解散したという。
デモに参加した議会のチャウアチ副議長は演説で、「私たちはこの茶番劇を受け入れない」と群衆に呼びかけた。
20日はサイード大統領が1月に開始した憲法改正に関するオンライン投票の最終日であり、結果は専門家委員会に提出されることになっている。
公式統計によると、投票率は7%にとどまっているという。
憲法改正の是非を問う国民投票は今年7月に実施される予定。今回のオンライン投票は改正の準備に位置付けられており、国民投票には影響を与えないと伝えられている。
サイード大統領は先週の声明で投票率の低さを擁護し、憲法改正に向けた取り組みを加速させると誓った。
一方、デモ隊は今月初旬に公共の秩序を乱した容疑で逮捕されたチュニジア弁護士会の前会長であるキラニ氏の釈放も要求した。
キラニ氏は昨年末から自宅軟禁下に置かれている元法務大臣の弁護団のひとりである。