コンテンプト・オブ・コート 5-25
アンカレッジ刑務所。
面会室。
カーターは、机を挟んで二人の男と向かい合っていた。
一人はコール。
もう一人は、以前カーターの弁護を担当していたオースティン弁護士だった。
コールは椅子に座るなり、笑顔を浮かべた。
「元気だったか?」
カーターはコールを睨んだ。
「……この野郎」
コールは気にした様子もなく、足を組んだ。
「俺を殺したいなら、まずここを出ないとな」
カーターは拳を握り締めた。
コールが続ける。
「マイク・ハンターと約束したんだろ?無罪になって外に出たら、俺を殺すと」
「俺が何をしたっていうんだ?」
カーターの声が低くなる。
「何十年も警察官として働いてきた。市民を守り、犯罪者を捕まえてきた。それなのに、なぜ俺がこんな目に遭わなきゃならない」
コールは肩をすくめた。
「お前は俺の裏の顔を知りすぎている」
「……」
「だから、ずっと刑務所にいた方が安全なんだよ」
カーターは机を叩いた。
「このクソ野郎!」
オースティンが口を挟んだ。
「カーター刑事、落ち着いてください。紳士的に話しましょう」
「黙れ!」
カーターはオースティンを睨んだ。
「お前も同じだ。俺を弁護するふりをして、何もしなかった!」
オースティンは表情を変えなかった。
「感情的にならないでくださいよ」
コールは笑みを浮かべた。
「マイク・ハンターが何しに来たのか、お前も知ってるはずだ」
カーターはコールを見た。
「あいつは俺たちを殺したがってる。お前をここから出して、俺たちに復讐するつもりだ」
「……」
「そんな奴に弁護してもらうつもりか?」
カーターはしばらく黙っていた。
そして、口元を歪めた。
「お前、あいつが怖いのか?」
コールの笑みが消えた。
「何だと?」
「あいつは俺をここから出すと言った。外に出たら殺すそうだ」
カーターはコールを見据えた。
「お前も、いつか裁きを受けることになる」
コールは答えなかった。
そのとき、オースティンが鞄からノートパソコンを取り出した。
「まあまあ。カーター刑事、これを見てください」
オースティンはパソコンを机の上に置き、画面をカーターへ向けた。
「何だ?」
「見れば分かります」
映像が再生された。
画面には、市長が殺害された倉庫が映っていた。
一人の男が、周囲を確認しながら室内へ入ってくる。
男は手袋をはめていた。
男は血の付いた布を置き、床に残った足跡を確かめるように周囲を歩いた。
最後に、机の上に置かれた書類を動かし、現場を見回してから倉庫を出ていった。
カーターの顔から血の気が引いた。
「……これは」
オースティンが映像を止める。
カーターは画面を見つめた。
「証拠を……捏造しているのか?」
オースティンは答えなかった。
カーターはコールを見る。
「お前ら……」
声が震えていた。
コールは表情を変えず、言った。
「お前の無実を証明できるのは、俺だけだ」
カーターはコールを睨んだ。
「……殺してやる」
コールはパソコンの画面を閉じた。
「この映像は保険だ。生きたいなら、俺の言うことを聞け」
カーターは黙った。
「俺に逆らえば、お前は一生ここから出られない」
「……」
「だが、俺に協力すれば、生き残る道を用意してやる」
カーターは机の上で拳を握った。
自分を陥れた人間が、今度は自分を救うと言っている。
信じられるはずがなかった。
それでも、妻に会わなければならない。
カーターは顔を上げた。
「……何をすればいい?」
コールは満足そうに微笑む。
オースティンはノートパソコンを鞄へしまった。
カーターは二人を見つめていた。
無罪になるために、彼らの要求を受け入れるのか。
それとも、法廷で闘うか。
答えは出なかった。
