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女性に偏る『メンタルロード』、家庭を支える見えない負担、夫婦でどう分担するか

家庭生活では、目に見える仕事だけが労働ではない。
育児のイメージ(Getty Images)

家庭を維持するためには、料理や掃除、洗濯といった目に見える家事だけでなく、日々の予定を把握し、必要なことを考え、先回りして準備する作業が欠かせない。こうした「見えない仕事」はメンタルロードと呼ばれ、特に子どものいる家庭では母親に偏りやすいことが指摘されている。

メンタルロードとは、単純に家事に費やす時間の長さだけを意味するものではない。学校行事の日程を覚える、子どもの持ち物を確認する、医療機関の予約を取る、食事の献立を考える、家の中で何が不足しているかを把握するといった、計画、管理、記憶、判断を含む継続的な負担を指す。

米国で行われた調査では、家庭内のメンタルロードに関する仕事のうち、母親が担う割合が71%に上った。調査対象は米国の保護者約3000人で、食事の計画や子どもの活動の手配、家計管理など、家庭生活を維持するためのさまざまな作業について誰が主に担っているかを調べたものだ。

この負担の特徴は、実際に作業をしている時間だけでは測りにくい点にある。例えば、父親が子どもを学校へ迎えに行くことを担当していても、母親が「何時に迎えに行く必要があるか」「学校から連絡が来ていないか」「必要な持ち物は何か」を継続的に確認しているなら、家庭を運営する責任の一部は母親側に残っている。

そのため、単に「言われたことを手伝う」だけではメンタルロードの分担にはなりにくい。重要なのは、一つひとつの作業を頼まれて実行することではなく、特定の領域について最初から最後まで自分の責任として引き受けることだ。

例えば学校関連を担当するなら、行事予定を確認し、必要な準備を把握し、学校からの連絡を確認し、必要な物を用意するところまで一貫して担う。こうすれば、一方のパートナーが「次は何をすればいいのか」と指示を出し続ける必要がなくなる。

背景には、家庭内で長年形成されてきた役割分担がある。女性が家事や育児に関する情報を多く管理することが当然視されると、本人が意識しないうちに「家庭の管理者」となり、もう一方が指示を受けて動く立場になりやすい。

一方で、メンタルロードの負担を男女だけの問題として単純化することにも注意が必要だ。家庭によって仕事、育児、家事、経済的負担の分担は異なり、男性が家庭内の大きな負担を担っているケースもある。重要なのは、誰がどれだけ家事をしたかだけでなく、誰が家庭を維持するための計画と判断を継続的に背負っているかを確認することだ。

夫婦で負担を減らすためには、まず家庭内の仕事を具体的に書き出すことが有効になる。料理や掃除だけでなく、学校との連絡、病院の予約、買い物の管理、家族の予定調整などまで可視化すれば、これまで見えなかった負担が浮かび上がる。

そのうえで、作業を50対50で機械的に分けるのではなく、それぞれが一定の領域を主体的に管理する方法が考えられる。メンタルロードの問題は、家事の量だけではなく、「家庭を運営する責任を誰が持っているのか」という問題でもあるからだ。

家庭生活では、目に見える仕事だけが労働ではない。誰かが常に予定を覚え、問題を予測し、必要なことを考え続けているなら、その負担もまた家庭を支える重要な仕事である。夫婦が互いに「何をしているか」だけでなく「何を考え続けているか」に目を向けることが、より公平な分担への第一歩となる。

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