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中国系プラットフォーム、米国での肥満治療薬の販売停止することで合意

問題となったのは、食品医薬品局(FDA)の承認を受けていないGLP-1薬である。
体重測定のイメージ(Getty Images)

コネチカット州の司法当局は6日、中国系電子商取引サイト「Made-in-China」が米国向けに販売していた未承認のGLP-1系肥満治療薬の取り扱いを停止することで合意したと発表した。近年、肥満治療や糖尿病治療で需要が急拡大しているGLP-1薬を巡っては、正規品の不足や高価格を背景に、インターネット上で「研究用」などと称した非正規品の流通が問題となっており、今回の措置は当局による大規模な取り締まりの一環と位置づけられている。

問題となったのは、食品医薬品局(FDA)の承認を受けていないGLP-1薬である。「Made-in-China」のサイト上では、「Ozempic(オゼンピック)」や「Wegovy(ウゴービ)」、「Mounjaro(マンジャロ)」、「Zepbound(ゼップバウンド)」などの人気薬のジェネリック版であるかのように宣伝されていた。しかし実際には、米国内で承認されたGLP-1注射薬の正式な後発医薬品は存在しておらず、コネチカット州司法当局は「消費者を誤認させる虚偽表示だ」と指摘している。

コネチカット州のトング(William Tong)司法長官は声明で、「現在、市場に承認済みのGLP-1注射薬のジェネリックは存在しない」と強調し、未承認薬の販売は「患者を危険な模造薬にさらす行為だ」と批判した。調査では、販売されていた薬剤の一部に不純物や細菌汚染の可能性が確認されたほか、有効成分の量が一定ではなく、過剰摂取につながる危険性も指摘された。州当局はこれらの商品が医師の診察や処方箋なしで購入可能だったことを問題視している。

GLP-1薬は、本来は糖尿病治療薬として開発されたが、強い食欲抑制効果が注目され、近年は肥満治療薬として爆発的に普及した。特に米国では肥満人口の増加に加え、著名人やSNSインフルエンサーによる紹介も追い風となり、需要が急増している。非営利団体KFFの2025年調査では、米国の成人のおよそ8人に1人が、減量や慢性疾患の治療目的でGLP-1薬を使用した経験があると回答している。2024年時点の約6%から倍増しており、市場拡大の勢いが鮮明となっている。

こうした人気の高まりの一方で、供給不足や価格高騰も深刻化している。正規品は月額1000ドルを超えるケースもあり、保険適用の対象外となる患者も多い。このため、消費者の間ではインターネット通販や個人輸入を通じて安価な代替品を求める動きが広がっている。AP通信は昨年、筋肉増強や若返りをうたう未承認ペプチド製剤を自己注射する米国人が増加している実態を報じており、GLP-1薬も同様の危険な市場拡大の中にあると指摘していた。

FDAはこれまでも、未承認のGLP-1薬について「安全性、有効性、品質の審査を受けていない」として警告を出してきた。特にオンライン市場では成分表示が不正確な製品や、研究用途限定と記載しながら実際には一般消費者向けに販売されるケースが横行している。専門家はこうした薬剤を使用した場合、重篤な副作用や感染症、低血糖などを引き起こす恐れがあると警鐘を鳴らしている。

一方、「Made-in-China」は米国向けにGLP-1薬を宣伝・販売する出品業者の掲載を停止することで同意した。同社は調査に協力的だったとされるが、米当局は今後も類似サイトへの監視を強化する方針である。肥満治療薬市場は今後も急拡大が予想される一方、需要の過熱が違法・未承認薬の流通を招いている現状が浮き彫りとなった形だ。

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