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パラグアイ大統領が台湾を訪問、中国からの外交圧力強まる中

パラグアイは現在、南米で唯一台湾を国家承認している国であり、世界全体でも台湾と正式な外交関係を維持する国は12カ国しか残っていない。
パラグアイと台湾の国旗(Getty Images)

南米パラグアイのペニャ(Santiago Peña)大統領が7日、台湾を公式訪問した。中国が台湾への外交圧力を強める中で行われた今回の訪問は、台湾にとって数少ない外交関係国との結束を示す象徴的な意味合いを持っている。パラグアイは現在、南米で唯一台湾を国家承認している国であり、世界全体でも台湾と正式な外交関係を維持する国は12カ国しか残っていない。

ペニャ氏の台湾訪問は2023年の就任以来初。訪問団には農業や金融分野の関係者も同行し、経済協力の拡大が主要議題となる見通しだ。到着後、ペニャ氏は林佳龍(Lin Chia-lung)外交部長(外相)の出迎えを受け、8日には頼清徳(Lai Ching-te)総統による歓迎式典や会談が予定されている。台湾側は今回の訪問を通じて、中南米における外交基盤の維持を国際社会に示したい考えだ。

中国は台湾を自国領土の一部とみなし、「一つの中国」原則を受け入れない国とは正式な外交関係を結ばない方針をとっている。そのため、中国は長年にわたり台湾の友好国に対して経済支援や投資を提示し、台湾との断交を促してきた。近年ではホンジュラス、ニカラグア、ナウルなどが相次いで台湾と断交し、中国へ外交承認を切り替えた。こうした中で、パラグアイは台湾支持を維持する数少ない国として重要性を増している。

ペニャ氏は声明で、「台湾との友情は民主主義と自由という共通の価値観に基づいている」と強調し、両国関係は単なる外交儀礼ではなく、実際の利益と協力によって支えられていると述べた。林佳龍氏も、パラグアイが国際社会で台湾支持を続けていることに謝意を示した。

一方、中国政府は即座に反発した。中国外務省の報道官は7日、「パラグアイ政府が国際社会の潮流を認識し、一日も早く台湾と断交することを望む」と述べ、改めて圧力をかけた。中国は台湾を国家として認める動きに強く反対し、各国に対して台湾との公式交流を制限するよう求め続けている。

今回の訪問の背景には、中国による台湾孤立化戦略の強化がある。中国軍は近年、台湾周辺で軍事演習や艦艇、軍用機の活動を活発化させているほか、外交面でも台湾の国際的空間を狭めようとしている。今月初めには頼総統が台湾の友好国エスワティニを訪問する際、中国の圧力によって複数の国が航空機の上空通過を拒否したと非難し、外交問題となった。

台湾はこうした状況に対抗するため、残された友好国との関係強化を急いでいる。特にパラグアイは農業輸出国として台湾との経済関係が深く、台湾側も投資や技術支援を通じて関係維持に力を入れてきた。中国市場への接近を求める声はパラグアイ国内にもあるものの、ペニャ政権は現時点で台湾支持を維持する姿勢を崩していない。

台湾を巡る米中対立が続く中、今回の訪問は単なる友好外交にとどまらず、国際社会における台湾の存在感と、中国による外交圧力への対抗姿勢を示す重要な政治イベントとなっている。

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