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イスラエル首相「テロリストに免責なし」ベイルート空爆を擁護

ベイルートへの攻撃は停戦後もイスラエルが必要と判断すれば首都圏への軍事行動を辞さないことを示した形だ。
2026年5月7日/レバノン、首都ベイルート、イスラエル軍の空爆を受けた建物(ロイター通信)

イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は7日、レバノンの首都ベイルート近郊で行われた空爆について、「テロリストに免責はない」と述べ、イスラエルと敵対する武装勢力への攻撃を継続する姿勢を鮮明にした。今回の空爆は4月中旬に成立した停戦後としては初めてベイルートを標的にした攻撃となり、中東情勢の再緊迫化への懸念が高まっている。

イスラエル軍によると、攻撃対象となったのは親イラン武装組織ヒズボラの精鋭「ラドワン部隊」の司令官。軍は空爆によってこの司令官を殺害したとしているが、ヒズボラ側は7日時点で公式確認を出していない。攻撃はヒズボラの拠点とされるベイルート南部の地区で行われた。

ネタニヤフ氏は声明で、「彼はベイルートなら安全だと思っていたかもしれないが、もはやそうではない」と述べ、レバノン国内のどこにいても武装勢力幹部を標的にする考えを示した。イスラエル政府はヒズボラが南レバノンを拠点にロケット弾や無人機による攻撃を続けていると非難しており、北部住民を守るために必要な軍事行動だと主張している。

今回の攻撃は4月16日に発効した停戦合意を大きく揺るがすものとなった。停戦は米国の仲介によって成立し、イスラエルとヒズボラの衝突を一定程度抑え込んでいた。しかし、その後も南レバノンでは散発的な交戦が続き、イスラエル軍はレバノン南部に最大10キロに及ぶ管理区域を維持している。ヒズボラ側もイスラエル軍への攻撃を継続し、停戦は極めて不安定な状態に置かれている。

今回の衝突の背景には3月以降に激化した地域紛争がある。ヒズボラは米国とイスラエルによるイラン攻撃への報復としてイスラエル側への攻撃を開始した。これに対しイスラエルは大規模空爆で応戦し、レバノン各地で多数の死傷者が出ている。レバノン保健省によると、3月以降の戦闘で2700人以上が死亡し、120万人余りが避難を余儀なくされた。一方、イスラエル側でも兵士や民間人の犠牲が報告されている。

空爆後も双方の攻撃は続いている。ヒズボラは7日、イスラエル軍に対して17回の攻撃を実施したと発表し、イスラエル軍もレバノン南部で15カ所以上の軍事施設を攻撃したとしている。レバノン南部では民間人の犠牲も増えており、同日には複数地域への空爆で少なくとも11人が死亡したと報じられた。

一方で、米国は事態沈静化に向けた外交努力を続けている。トランプ政権は5月中旬にワシントンDCでレバノンとイスラエルの協議を仲介する予定だが、レバノンのサラム(Nawaf Salam)首相は「首脳会談を論じる段階ではない」と慎重姿勢を示している。ヒズボラもイスラエルとの接触に強く反対するなど、国内政治の対立も和平交渉の障害となっている。

ベイルートへの攻撃は停戦後もイスラエルが必要と判断すれば首都圏への軍事行動を辞さないことを示した形だ。今後、ヒズボラ側が報復に動けば、全面衝突へ発展する可能性も否定できない。中東ではイラン情勢も含めた緊張が続き、地域全体の不安定化が一段と深まっている。

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