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多くの新米ママが「マタニティブルー」を経験、”産後うつ”との違い

産後の気分の変化自体は珍しいものではない。
母子のイメージ(Getty Images)

出産は人生における大きな喜びの一つである。しかし、その陰で深刻な心の不調に苦しむ母親たちが増えている。多くの女性が経験する「マタニティブルー」と呼ばれる一時的な気分の落ち込みと、より深刻な「産後うつ」の違いについて、専門家が理解を深める必要性を訴えている。

米フロリダ州のジェナ・カーバーグ(Jenna Carberg)さんは娘を出産した直後から異変を感じた。生まれたばかりのわが子を胸に抱いた際、本来なら喜びや愛情が湧くはずの場面で強い違和感を覚えたという。その後も不安感や疲労感に悩まされ、毎日のように涙が止まらなくなった。最終的に彼女は産後うつと診断された。

産後の気分の変化自体は珍しいものではない。専門家によると、新たに母親になった女性の約8割がマタニティブルーを経験するという。出産後に女性ホルモンが急激に減少することが主な原因と考えられており、気分の浮き沈みや涙もろさ、不安感、睡眠障害などが現れる。しかし、これらの症状は通常、出産後数日から2週間程度で自然に改善する。

一方、産後うつはより重篤な精神疾患である。悲しみや絶望感が長期間続き、育児や日常生活に支障をきたす。自分を責め続けたり、赤ちゃんへの愛着を感じられなくなったりするケースもある。重症化すると自傷行為や自殺念慮につながる恐れもある。

米国では産後うつの発症率が上昇傾向にある。2024年に発表された研究では、産後うつの割合が2010年の9.4%から2021年には19%まで増加したことが報告された。背景には診断技術やスクリーニング体制の向上がある一方で、社会的孤立や経済的不安、育児負担の増大なども影響しているとみられている。

専門家は症状が2週間以上続く場合には注意が必要だと指摘する。強い不安や絶望感、興味や意欲の喪失、極端な疲労感、集中力の低下などがみられる場合は、早めに医療機関へ相談することが望ましい。産後うつは本人の性格や努力不足によるものではなく、適切な治療が必要な疾患だからだ。

治療法としては、抗うつ薬や精神療法が広く用いられている。近年は産後うつ専用の新しい治療薬も登場しており、治療の選択肢は広がっている。また、十分な睡眠や家族の支援も回復に重要な役割を果たす。パートナーや周囲の人々が母親の変化に気付き、支えることが症状の悪化防止につながるという。

ジェナさんは適切な治療によって回復し、「再び自分らしさを取り戻せた」と振り返る。現在は自身の経験を発信しながら、同じ悩みを抱える母親たちを支援している。

出産後の心身の変化は決して特別なことではない。しかし、「母親なのだから幸せでなければならない」という社会的な思い込みが、苦しみを抱える女性たちをさらに追い詰めることもある。専門家は産後の不調を一過性の気分の問題として片付けず、必要な支援や治療につなげることが重要だと呼びかけている。母親自身の健康が守られてこそ、子どもの健やかな成長も支えられるという認識が、今あらためて求められている。

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