米司法省、キューバのラウル・カストロ氏を刑事告発、1996年の民間機撃墜事件
訴因は1996年に発生した民間機撃墜事件への関与で、米国人4人が死亡した「ブラザーズ・トゥ・ザ・レスキュー機撃墜事件」に関する殺人共謀などの容疑が含まれている。
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米司法省は20日、キューバ革命の中心人物であるラウル・カストロ(Raul Castro)前第1書記に対する刑事訴追を発表した。訴因は1996年に発生した民間機撃墜事件への関与で、米国人4人が死亡した「ブラザーズ・トゥ・ザ・レスキュー機撃墜事件」に関する殺人共謀などの容疑が含まれている。米国がキューバ革命指導者を刑事事件で正式に追及するのは極めて異例であり、トランプ政権による対キューバ強硬路線を象徴する動きとなった。
問題となっているのは1996年2月、米フロリダ州マイアミを拠点とするキューバ人民を支援する団体「ブラザーズ・トゥ・ザ・レスキュー」が運航していた小型機2機が、キューバ空軍の戦闘機に撃墜された事件である。4人が死亡し、国際民間航空機関(ICAO)は後に、撃墜は国際空域上で行われたとの調査結果を示した。当時、カストロ氏は国防相を務めており、米司法省は「攻撃命令を出した中心人物」とみている。
起訴状では、カストロ氏に加え、事件に関与したとされる軍関係者ら5人も訴追対象となった。罪状には「米国民殺害の共謀」「4件の殺人」「航空機破壊」などが含まれる。起訴はフロリダ州マイアミの連邦裁判所で行われ、司法省高官が記者会見で正式発表した。
94歳となったカストロ氏は、兄である故フィデル・カストロ(Fidel Castro)氏から権力を引き継ぎ、2008年から2018年まで国家元首を務めた。2021年に共産党トップを退いた後も、軍や党内に強い影響力を保持しているとみられている。米側も実際の身柄引き渡しはほぼ不可能と認識しているが、今回の起訴には「象徴的意味」があるとの見方が強い。
背景には、トランプ政権による対キューバ圧力強化がある。米国は近年、ベネズエラ産原油の輸送遮断や追加制裁を通じてキューバ経済を締め付けており、島内では深刻な燃料不足と停電が続く。トランプ(Donald Trump)大統領は「キューバ国民との新たな関係」を提唱する一方、現体制の転換を公然と求めてきた。
一方、キューバ政府は強く反発している。ロドリゲス(Bruno Rodríguez Parrilla)外相は米国の対応を「冷笑的で侵略的」と批判し、経済危機の責任は米制裁にあると主張した。ディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領も米国によるさらなる圧力は「主権侵害」だとして警戒感を示している。
米国とキューバはオバマ政権時代に一時関係改善へ向かったが、トランプ政権下で再び対立が激化した。今回の起訴は30年前の未解決事件を司法の場へ持ち込むことで、キューバ指導部への政治的圧力を一段と高める狙いがあるとみられる。だが、実際に裁判が開かれる可能性はゼロに近く、外交関係のさらなる悪化を招くとの懸念も広がっている。
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