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フィリピン・デラローサ上院議員が最高裁に異議申し立て、ICC逮捕状に抵抗

デラローサ氏の弁護団は声明で、「法の下で利用可能なあらゆる救済措置を尽くす」と表明した。
2026年5月13日/フィリピン、首都マニラ、デラローサ上院議員(ロイター通信)

フィリピンのデラローサ(Ronald dela Rosa)上院議員は20日、自身の逮捕状差し止めを求めた仮処分申請を最高裁判所が退けたことを受け、判断の再考を求める申し立てを行う方針を明らかにした。デラローサ氏はドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)前大統領が進めた「麻薬戦争」に関する「人道に対する罪」の疑いで、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出されている。

デラローサ氏の弁護団は声明で、「法の下で利用可能なあらゆる救済措置を尽くす」と表明した。最高裁は20日、デラローサ氏とドゥテルテ氏の弁護団が提出していた一時的差し止め命令(TRO)を退けた。これにより、フィリピン政府がICCの要請に応じてデラローサ氏を拘束し、オランダ・ハーグへ移送する法的障害は大きく後退した。

デラローサ氏は元国家警察長官で、2016年から始まったドゥテルテ政権の強硬な麻薬取締政策を主導した人物として知られる。ICCはこの「麻薬戦争」で数千人規模の超法規的殺害が行われたとみており、ドゥテルテ氏とともにデラローサ氏を「間接的共同実行者」の一人に位置づけている。人権団体は死者数について、公式発表の約6000人を大きく上回る可能性があると主張している。

フィリピン政府は2019年にICCのローマ規程から脱退しているが、ICC側は「脱退前に発生した犯罪には管轄権が及ぶ」として捜査を継続している。これに対しデラローサ氏側は「ICCに国内での逮捕権限はない」と主張し、逮捕にはフィリピン国内裁判所による正式な承認が必要だと訴えてきた。だが司法省は国内法に基づきICCの要請執行は可能だとの立場を取っている。

デラローサ氏は今月、ICC逮捕状の存在が明らかになった後、一時上院施設内に身を寄せていた。上院では国家捜査局(NBI)職員との間で対立が発生し、施設内で発砲もあった。その後、デラローサ氏は姿を消し、現在も所在は明らかになっていない。

一方、ICCに拘束されたドゥテルテ氏はハーグで収監中、フィリピン国内では支持者と反対派の対立が一段と深まっている。マルコス・ジュニア政権は「国際的義務を果たす」としてICCとの協力姿勢を示す一方、ドゥテルテ派は「主権侵害だ」と反発している。今回の最高裁判断はフィリピン司法がICC問題に一定の協力姿勢を示したものと受け止められており、今後の政治情勢にも影響を与える可能性がある。

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