◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ、首都ポルトープランスのギャング(Getty Images/AFP通信)

国連ハイチ事務所は10月31日、ギャングの暴力に苦しむハイチの子供が危機的状況に追いやられていると警告した。

同事務所の責任者は公式ウェブサイトに声明を投稿。「ギャングの暴力が急拡大した結果、多くの子供がまともな教育を受けられず、厳しい現実に直面している」と警鐘を鳴らした。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは1年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。地元の人権団体はこの争いで民間人数千人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。

国連ハイチ事務所によると、ポルトープランスを含むあらゆる地域で殺人、誘拐、脅迫が日常茶飯事になっているという。

7月1日~9月30日までにハイチ全土で少なくとも1230件の殺人と700件以上の誘拐が報告された。これは昨年同時期の2倍以上であり、実際の件数はこれよりはるかに多いと考えられている。

ハイチでは推定200のギャングが活動しており、最大派閥「G9&Family」はポルトープランスの80%を支配下に置いたとされる。

同事務所は声明の中で、「ギャングメンバーの多くが子供であることも危機に拍車をかける要因となっている」と指摘。「その多くが社会復帰に向けたプログラムを受ける必要がある」とした。

また同事務所は中央部や北西部の以前は平和だった地域にも暴力が拡大しているとして、国連に行動を呼びかけた。

地元の人権団体によると、暴力の急増により、50万人以上の子供が教育を受けられずにいるという。

同事務所は「女性・少女がギャングの標的になり、この1年で数千人が性的虐待を受けたと推定される」と非難した。

ハイチのアンリ(Ariel Henry)首相は1年前、国連にPKO派遣を要請した。

国連安保理は先月、ハイチへのPKO派遣を全会一致で採択。部隊を率いるのはケニアで、米国は最大2億ドルを拠出すると約束した。

ケニア政府は「警察官をハイチに派遣するのは憲法違反である」とする訴えにより、要員を送れずにいる。

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