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米議会下院、国土安全保障省の予算法案を可決、閉鎖解除へ

今回の措置は2月14日以降続いていた予算切れ状態に終止符を打つものだ。
米ワシントンDC連邦議会議事堂(AP通信)

連邦議会下院は4月30日、国土安全保障省(DHS)への予算を手当てする法案を可決し、過去最長となっていた同省の閉鎖を終結させる見通しとなった。法案は超党派の支持で成立し、トランプ(Donald Trump)大統領の署名を経て発効する見込みである。

今回の措置は2月14日以降続いていた予算切れ状態に終止符を打つものだ。約75日間に及ぶ混乱の間、運輸保安局(TSA)や沿岸警備隊など多くの機関が通常予算を欠き、職員の生活や業務に深刻な影響が及んでいた。ホワイトハウスは臨時予算を投入して対応してきたが、その資金も間もなく枯渇すると警告しており、空港業務の混乱など安全保障上の懸念が高まっていた。

可決された法案はDHSの大部分の機能を再開させる一方、移民取締りを担う機関への資金は含まれていない。移民税関捜査局(ICE)や税関・国境警備局(CBP)に関する予算は別途「財政調整(リコンシリエーション)」と呼ばれる手続きで処理される予定で、与野党の対立はなお残る構図だ。

今回の対立の背景にはトランプ政権の強硬な移民政策を巡る深刻な政治的対立がある。特に連邦捜査官による発砲事件を受け、民主党がICEなどへの資金提供に条件を求めたことが交渉を難航させ、議会は長期間にわたり膠着状態に陥っていた。

下院での採決は発声投票で迅速に行われ、これまでの対立から一転して決着が図られた。民主党のデラウロ(Rosa DeLauro)下院議員は「やっとだ」と述べ、数カ月前から提案していた法案の成立を歓迎した。一方、共和党のジョンソン(Mike Johnson)下院議長は今回の合意を自党の成果と強調し、政治的駆け引きの勝利をアピールした。

もっとも、問題の先送りとの見方も根強い。共和党は移民取締り予算について、民主党の協力を得ずに可決可能な別法案で約700億ドル規模の予算を確保する方針で、6月をめどに決着を図る構えである。これに対し、民主党は監視強化などの条件を譲らず、再び対立が激化する可能性がある。

長期化した今回のDHS閉鎖は職員の無給勤務や離職、空港運営への影響など多くの混乱を招き、政府機能の脆弱性を露呈した。結果的に議会は土壇場で妥協した形だが、移民政策という根本的な争点は未解決のままであり、今後も同様の財政対立が再燃する可能性は否定できない。

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