パキスタン国境で足止め食らうアフガン難民「逃げ場なし」
難民の多くはパキスタンで生まれ育った二世、三世であり、事実上アフガンに生活基盤を持たない。
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パキスタンとアフガニスタンの国境地帯で戦闘が再び激化する中、多くのアフガン難民が国境で足止めされ、深刻な人道状況に直面している。特に主要な越境地点であるトルハム検問所周辺では、数日から10日以上にわたり移動できない人々が滞留している。
難民の多くはパキスタンで生まれ育った二世、三世であり、事実上アフガンに生活基盤を持たない。それにもかかわらず、パキスタン政府は2023年以降、不法滞在者の一斉送還を進め、これまでに200万人以上のアフガン人が国外退去を余儀なくされた。現在は有効なビザ(査証)を持たない者の滞在が認められず、難民たちは帰還か滞留かの選択を迫られている。
しかし、帰還先のアフガン側でも安全は保証されていない。両国間では2026年に入り武力衝突が断続的に発生し、迫撃砲やロケット弾による攻撃が多数報告されている。こうした戦闘は民間人にも被害を及ぼし、女性や子どもを含む死傷者が出ているほか、学校やインフラへの被害も確認されている。
対立の背景には、パキスタンが国内での武装勢力による攻撃について、アフガン側が拠点を提供していると非難していることがある。一方、アフガンのタリバン暫定政権はこれを否定し、むしろパキスタンによる越境攻撃が主権侵害であると反発している。両国の相互不信は根深く、停戦や協議が行われても長続きせず、緊張が慢性化している。
こうした状況の中で、難民の生活は一層不安定になっている。国境付近ではトラックに家財を積んだ家族が長い列を作り、食料や医療へのアクセスも限られている。特に子どもの教育や将来に対する不安が強く、避難生活の長期化が懸念されている。
さらに、戦闘の影響で新たな国内避難民も増加している。国連によると、2026年の戦闘では数万人が移動を余儀なくされ、既存の難民問題に追い打ちをかけている。
パキスタン政府は治安上の理由から強制送還政策を正当化しているが、国際社会からは人道的配慮の不足を指摘する声も出ている。帰還した難民が紛争に直面するリスクや、生活基盤を持たないまま再び不安定な環境に置かれる問題は解決されていない。
国境で足止めされた人々にとって、戦闘の激化と強制送還政策が重なった現状は、まさに「逃げ場のない状態」となっている。政治的対立が続く限り、難民問題の解決は見通せず、人道危機はさらに深刻化する可能性が高い。
