SHARE:

米司法省、キューバのラウル・カストロ氏を刑事告発へ

トランプ政権は2026年に入り、キューバへの圧力を強化した。
2016年11月29日/キューバ、首都ハバナ、ラウル・カストロ書記長(AFP通信)

トランプ政権がキューバ革命の中心人物であるラウル・カストロ(Raul Castro)前第1書記に対する刑事告発を準備していることが明らかになった。現地メディアが15日に報じた。それによると、米司法省は大陪審による起訴手続きを視野に入れており、キューバ人民を支援する団体「ブラザーズ・トゥ・ザ・レスキュー」の航空機がキューバ軍機に撃墜された事件が主な焦点となっている。

問題となっているのは同団体が運航していた小型機2機が、1996年にキューバ空軍によって撃墜され、搭乗していた4人が死亡した事件だ。共産党は当時、航空機が領空侵犯を行ったと主張した一方、米側は国際空域での攻撃だったと非難し、両国関係は急速に悪化した。今回の訴追準備はこの事件を「国家による殺害行為」と位置づける動きの延長線上にある。

トランプ政権は2026年に入り、キューバへの圧力を強化した。ベネズエラ産原油の対キューバ輸送を阻止する制裁措置を打ち出し、キューバ経済は深刻な燃料不足と停電に直面している。さらに、キューバと取引する外国企業への制裁も警告し、事実上の「エネルギー封鎖」との見方も広がっている。

こうした中、米中央情報局(CIA)のラトクリフ(John Ratcliffe)長官長官は今週、異例のハバナ訪問を実施。共産党幹部やカストロ一族関係者と会談し、経済協力や安全保障について協議したとされる。しかし米政府は同時に、「根本的な政治改革がなければ関係改善はない」と強調し、対話と圧力を並行させる戦略を取っている。

94歳となったラウル・カストロ氏は兄である故フィデル・カストロ(Fidel Castro)氏とともにキューバ革命を主導し、2008年から2018年まで国家元首を務めた。その後も共産党トップとして影響力を保持し、現在も体制の象徴的人物とみなされている。米国がこうした歴史的指導者の刑事責任を追及する動きに踏み出せば、米州外交に大きな波紋を広げる可能性が高い。

一方で、実際に起訴が成立しても、キューバ政府が身柄引き渡しに応じる可能性は極めて低い。象徴的意味合いが強い措置との見方もあり、トランプ政権が国内の反共産主義支持層やキューバ系有権者を意識しているとの分析も出ている。中間選挙を控える中、キューバ政策は再び重要な争点となりつつある。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします