ラテンアメリカ2026年5月16日米国とブラジルのエタノール輸出急増、原油供給不安続く中 増永 建太郎 2026年第1四半期(1~3月)の米国産エタノール輸出量は前年同期比20%増の6億3800万ガロンに達した。ガソリンスタンドのイメージ(ロイター通信)米国とブラジルでエタノール輸出が急増している。中東情勢の緊迫化による原油供給不安を背景に、各国がガソリン代替燃料の確保を急いでいるためだ。世界最大のエタノール生産国である米国と、サトウキビ由来エタノールで知られるブラジルには、アジアを中心とした輸入需要が集中している。米再生可能燃料協会(RFA)によると、2026年第1四半期(1~3月)の米国産エタノール輸出量は前年同期比20%増の6億3800万ガロンに達した。背景には、ホルムズ海峡を巡る地政学リスクの高まりがある。原油輸送の要衝である同海峡で混乱が生じ、世界的な燃料価格高騰につながり、その結果、各国は輸入先の多様化を進めている。ブラジルでも輸出拡大が続く。業界関係者によると、2026〜27年度のエタノール輸出量は22億リットルを超え、前年度比で倍増する見通しだ。ブラジル政府は国内燃料の安定供給と化石燃料依存低減を目的に、ガソリンへのエタノール混合比率を30%から32%へ引き上げる方針も示している。エタノール需要の拡大は、米国ではトウモロコシ農家、ブラジルではサトウキビ産業の収益改善につながっている。ブラジルの製糖会社は砂糖より採算性の高いエタノール生産へ切り替えを進めており、国際砂糖価格にも影響を与えている。インドや東南アジア諸国は燃料価格高騰への対応としてバイオ燃料混合政策を拡大している。国内生産だけでは需要を賄えない国も多く、米国やブラジルからの輸入依存が高まっている。こうした動きは2007年ごろに両国が構想した「世界エタノール市場」の形成を再び後押しする形となっている。一方で、専門家は供給拡大にも限界があると指摘する。原料作物価格の上昇や物流コスト増加に加え、国際情勢が沈静化した場合には需要が鈍化する可能性もあるためだ。それでも、各国がエネルギー安全保障を重視する流れは続くとみられ、再生可能燃料としてのエタノールの存在感は今後さらに高まりそうだ。