SHARE:

メキシコ・ゲレロ州でカルテル間抗争激化、1000世帯が避難

暴力の中心となっているのは、ゲレロ州で勢力を拡大している麻薬カルテル「ロス・アルディジョス(Los Ardillos)」とされる。
2026年2月23日/メキシコ、西部ハリスコ州グアダラハラ(ロイター通信)

メキシコ南部ゲレロ州の山岳地帯で麻薬カルテルによる暴力が激化し、800〜1000世帯が避難を余儀なくされている。地元の人権団体が10日、明らかにした。それによると、カルテルの構成員とみられる武装集団は爆発物を搭載したドローンや高性能ライフルを用いて集落を攻撃し、多くの住民が夜間に着の身着のままで逃げ出した。避難者の中には高齢者や子どもも含まれ、近隣自治体の広場や運動場などで避難生活を余儀なくされているという。

暴力の中心となっているのは、ゲレロ州で勢力を拡大している麻薬カルテル「ロス・アルディジョス(Los Ardillos)」とされる。同組織は麻薬取引や恐喝、密輸ルートの支配をめぐって他勢力と抗争を続けており、近年は農村部への圧力を強めている。住民側は武装兵が地域住民に協力を強要し、従わない者を殺害していると訴えている。今回の攻撃では少なくとも1人が負傷した。

被害地域では長年にわたり治安悪化が深刻化していた。ゲレロ州はメキシコでも特に暴力事件が多い地域として知られ、複数の麻薬カルテルやギャング、自警団が入り乱れて活動している。専門家はかつて一つの勢力が支配していた地域が細分化され、多数の武装集団が争う構図へ変化したことで、住民への被害が拡大していると指摘する。

現地では政府による治安維持機能の不在に対する不満も高まっている。住民団体「ゲレロ先住民評議会・サパタ派」はこれまでの抗争で少なくとも76人が死亡し、25人が行方不明になっていると報告している。一方、州政府や連邦政府による支援は限定的で、住民からは「国家に見捨てられた」との声も上がる。軍や警察部隊は一部地域に展開しているものの、広大な山岳地帯全体を掌握するには至っていない。

こうした状況を受け、一部地域では住民による自警団が活動を活発化させている。自警団はAK47自動小銃や手製爆弾などで武装し、山中の見張り所からカルテルの侵入を監視している。しかし、相手は米国から流入した軍用レベルの武器やドローンを保有しており、住民側との戦力差は大きい。住民の一人はAP通信の取材に対し、「武力で対抗しなければ土地を奪われる」と語った。

シェインバウム政権は麻薬カルテル対策を強化しているが、地方では依然としてカルテルの影響力が根強い。政府は殺人件数が減少傾向にあると強調しているものの、ゲレロ州の現状は治安改善がなお限定的であることを示している。カルテルによるドローン空爆や住民追放は近年の犯罪組織の戦術変化を象徴しており、人権団体は人道状況の悪化に警鐘を鳴らしている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします