メキシコ大統領、米DEA長官の発言を批判「極めて遺憾」
問題となったのはコール氏が14日に行った発言で、「メキシコ政府とカルテルは事実上一体化しており、それが米国にとって最優先の脅威だ」と述べたことだった。
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メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は15日、米麻薬取締局(DEA)のコール(Terrence Cole)長官が「メキシコ政府と麻薬カルテルには致命的なつながりがある」と発言したことについて、「極めて遺憾であり、何ら根拠のない政治的な発言だ」と反発した。米国との安全保障協力を巡る緊張が続く中で飛び出した今回の発言は、両国関係に新たな火種をもたらす可能性がある。
問題となったのはコール氏が14日に行った発言で、「メキシコ政府とカルテルは事実上一体化しており、それが米国にとって最優先の脅威だ」と述べたことだった。これに対しシェインバウム氏は定例会見で、「証拠に基づくものではなく、政治的な意図を感じさせる発言だ」と批判し、DEAはメキシコではなく、世界最大の違法薬物市場である米国内での麻薬取引や資金洗浄の取り締まりに注力すべきだとの考えを示した。
メキシコ外務省も声明を発表し、DEA長官の主張を公式に否定した。その上で、麻薬カルテルとの戦いは国家の重要課題であり、治安対策や組織犯罪の摘発を継続していると強調した。また、米国との協力は相互尊重と主権尊重を前提に進められるべきで、一方的な主張は両国の協力関係を損なうとの立場を示した。
近年、米墨関係では治安対策を巡る摩擦が相次いでいる。米国は合成麻薬フェンタニルなどの流入を安全保障問題と位置付け、メキシコ側に一層の取り締まり強化を求めている。一方、メキシコ政府は主権侵害につながるような米国の介入には一貫して反対し、安全保障協力を進めながらも対等な関係を維持する姿勢を崩していない。
こうした対立の背景には、今年に入り米司法当局がシナロア州知事を麻薬カルテルとの関係を巡って起訴した問題もある。メキシコ政府はこの訴追についても「十分な証拠が示されていない」と反発し、米国による一連の対応を政治的な圧力と受け止めている。また移民政策を巡っても、米国で拘束中に死亡したメキシコ人をめぐる刑事告発を行うなど、両国間には複数の懸案が横たわっている。
麻薬対策は両国が協力を必要とする重要課題である一方、主権や司法権を巡る認識の違いは依然として大きい。DEA長官の発言を契機に相互不信がさらに深まれば、国境を越えた犯罪対策や情報共有にも影響が及ぶ可能性がある。
