◎昨年、同国とコロンビアの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡」を通過した移民は52万人超。22年の2倍以上に急増し、過去最高を更新した。
2024年7月1日/パナマ、首都パナマシティの国会、宣誓するムリノ新大統領(AP通信)

中米パナマで1日、大統領就任式が行われ、ムリノ(José Raúl Mulino)新大統領が宣誓した。

ムリノ氏は演説の中で、同国とコロンビアの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡(Darien Gap)」の取り締まり強化し、米国に向かう移民の数を減らすと約束した。

昨年ダリエンを通過した移民は52万人超。22年の2倍以上に急増し、過去最高を更新した。

そこを通過した移民は他の中米諸国とメキシコを巻き込んで米南部国境を目指す。米当局が昨年拘束した移民は250万人に達した。

ムリノ氏は「麻薬密売や人身売買に関与する犯罪組織を許さない」と強調。犯罪が横行するダリエンと周辺地域の治安を改善すると約束した。

またムリノ氏は外国に移住する権利を擁護したうえで、関係国と連携してこの問題に対処すると述べた。

ムリノ氏は先週、ダリエンを訪問した際、移民の強制送還について、米政府との合意を望んでいると明らかにしていた。

就任式には中南米諸国の首脳や高官が出席。米国はマヨルカス(Alejandro Mayorkas)米国土安全保障長官率いる代表団を派遣した。

米国の役割は主に、強制送還の航空券の費用を負担することである。

パナマ外務省は6月30日、米国の費用負担を歓迎するが、その額はまだ決まっていないと明らかにした。

ムリノ氏はダリエンを封鎖し、移民を減らすとしているが、実現するかどうかは不透明な情勢だ。

地元メディアによると、一部の与党議員を含む利害関係者がダリエンの封鎖に懸念を示しているという。強制送還の費用を米国が全て負担するとしてもだ。

パナマ当局によると、今年ダリエンを通過した移民や約18万6000人。そのほとんどがベネズエラ、エクアドル、コロンビア、中国人であった。

前政権はバスや避難所を準備するなどして、移民の国土横断を手助けしてきた。パナマにとどまる移民は全体のごく一部である。

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