◎ニカラグアの赤十字は1958年に設立され、その大部分を国内の寄付で賄ってきた。
2018年5月28日/ニカラグア、首都マナグア、オルテガ政権に抗議するデモ(Getty Images)

ニカラグアの人権団体は10日、首都マナグアに拠点を置く赤十字(Red Cross)の施設が数日中に閉鎖を命じられると明らかにした。

地元メディアによると、独裁者オルテガ(Daniel Ortega)大統領の支配下に置かれる国会は同国の赤十字事務所を閉鎖する法案を圧倒的賛成多数で可決したという。

国会は赤十字が2018年の抗議デモ中に平和と安定を脅かしたと非難した。しかし、赤十字は治安部隊の弾圧で負傷した市民の治療を手伝っただけである。

国会を支配する与党「サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)」は保健省に対し、「ニカラグア赤十字」なる組織を創設するよう命じた。

ニカラグアの医療体制は欧米諸国の対オルテガ制裁の影響を強く受けている。

ニカラグアの赤十字は1958年に設立され、その大部分を国内の寄付で賄ってきた。

地元メディアによると、国会を通過した法案により、ニカラグアにある赤十字の財産はすべて没収されることとなった。

2018年の抗議デモに対する弾圧は国際的な批判を集めた。地元の人権団体はデモ参加者355人が死亡、2000人以上が負傷したと報告している。

オルテガ氏はそれ以降も弾圧を続け、国内の主要な反対派は軒並み投獄され、国際NGOを含む3000以上の組織や団体が閉鎖を余儀なくされた。

これらの団体は人口の9割以上を占める低中所得者層を支援するために働いてきた。

オルテガ氏はマザー・テレサの「神の愛の宣教師会(Missionaries of Charity)」を含む様々な団体を打ち負かし、市民生活に深刻な影響を与えてきた。

オルテガ氏はこれらの団体が活動家や野党議員を支援し、国家転覆を企てていると非難している。

バチカン政府は先月、オルテガ氏が同国との国交断絶を提案したため、マナグアの大使館を閉鎖した。

ニカラグアの著名な司祭であるアルバレス(Rolando Álvarez)氏は3月、反体制派222人と司祭を米国に亡命させる飛行機への搭乗を拒否し、禁固26年を宣告され、市民権を剥奪された。裁判は刑務所内の秘密法廷で行われた。

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