◎マヤ鉄道はカリブ海の人気リゾート地と遺跡を結ぶ全長約1500キロの環状鉄道である。
2023年12月16日/メキシコ・キンタナロー州郊外、部分開通したマヤ鉄道(Martin Zetina/AP通信)

メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領が心血と情熱を注いだ観光鉄道事業「マヤ鉄道」が16日、部分開通した。

マヤ鉄道はカリブ海の人気リゾート地と遺跡を結ぶ全長約1500キロの環状鉄道。オブラドール氏は2023年末までの開業を目指していたが、完成したのは全体の3分の1程度であった。

地元メディアによると、カンクンのリゾート地を出発する1日2便の列車を待っていた乗客は約5時間ホームで待たされ、激怒したという。

鉄道当局はメディアの取材に対し、「列車の再編に時間がかかった」と述べ、乗客に謝罪した。

地元メディアによると、一部の乗客は列車を待つ間、ホームで仮眠を取ったり、ランニングや腕立て伏せをしたという。

鉄道ファンたちは通称「オブラドール・トレイン」がホームに入ると歓声を上げた。

カンクンに向かう反対の列車でも遅延が発生した。当局は部分開通した約473キロの所要時間を約5時間30分と見積もっている。

一方、プロジェクトの費用は当初の約85億ドルから280億ドルに膨れ上がった。

マヤ鉄道はビーチリゾートと遺跡を結ぶメキシコ史上最大の鉄道になる予定だ。しかし、開通した区間は全体の3分の1程度であり、さらに単線である。

政府関係者は残りの区間について、2月末までに工事竣工できると約束した。しかし、運用を開始した区間はすべて複線化される予定だったにもかかわらず、竣工したのは1本のみである。

つまり、1本の列車が通過する間、反対の列車は待機場で待たなければならない。

今回部分開通したカンペチェとカンクンを結ぶ区間は環境調査等の影響を受けない、最も建設しやすい区間であった。

地元メディアによると、カンクンから最も人気のある観光地であるメリダ駅までの1等席切符は約68ドル。

一部の専門家はマヤ鉄道の費用対効果について、「建設費はおろか、年間の運行コスト(人件費や点検費など)すら賄えない可能性がある」と指摘している。

オブラドール氏は無駄な「ハコモノ」は造らない明言している。

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