◎メキシコはジャーナリストにとって世界で最も危険な国のひとつである。
2020年10月22日/メキシコ、首都メキシコシティの警察官(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

3月5日、メキシコの現地メディアによると、麻薬カルテルの抗争の舞台になっているサカテカス州でジャーナリストが殺害されたという。これにより、メキシコ国内で今年殺害されたジャーナリストは7人となった。

サカテカス州知事は4日、オンラインニュースサイトTestigo Mineroでカルテルを取材していたジャーナリストのムニス氏の死亡を確認したと発表した。

同州はメキシコで最も暴力的な州のひとつであり、今年1月には州都のメインプラザに駐車されたピックアップトラックの中からバラバラにされた男女10人の遺体が発見された。

この州はシナロアカルテルハリスコ新生代カルテルとつながりのある組織による血生臭い抗争の舞台になっている。

シナロアカルテル1980年代後半に誕生したメキシコ最大の犯罪組織で、麻薬密売、マネーロンダリング、武器密売、殺人、誘拐、拷問などを生業としている。構成員は推定30,000人。

ハリスコ新生代カルテルは2009年に誕生した比較的新しい麻薬カルテルだが、メキシコの№2と目されており、シナロアカルテルや他の武装組織と激しく対立している。生業は麻薬密売、武器密売、人身売買、密輸、殺人、ゆすり、恐喝、誘拐、拷問、石油窃盗、売春、マネーロンダリングなど。構成員は6,000人以上と伝えられている。

ニュースサイトTestigo Mineroは声明で、「我々の友人であルムニス氏が殺されたことに憤慨している」と述べた。

メキシコはジャーナリストにとって世界で最も危険な国のひとつである。今年に入ってからのジャーナリストの殺害ペースは衝撃的で、米国のアントニー・ブリンケン国務長官も先月、懸念を表明していた。

メキシコの麻薬カルテルは自分たちに不利な報道を抑え込むために反対派のジャーナリストをしばしば標的にする。政府関係者によると、カルテルとつながりのある地元の政治家や高官も殺人に関与している可能性が高く、ジャーナリストの殺人事件の検挙率は10%に満たないという。

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は殺人事件をもみ消すことはないと約束しているが、政権に批判的なジャーナリストを定期的に攻撃している。

米州記者協会は先月、オブラドール大統領に対し、「権力者による攻撃はメディアに対する暴力を助長する」と指摘し、直ちにやめるよう求めた。

オンライン・ニュースサイトのディレクターで、北部ソノラ州の自治体職員だったカメロ氏は先月下旬に殺害された。

2月初旬には南部オアハカ州でオンライン・ニュースサイトのディレクターが射殺されている。

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