◎麻薬カルテルやギャングは米国を目指す移民に通行料を要求し、拒否した者を誘拐することがある。
2022年6月6日/メキシコ、南部タパチュラ、米国への移住を希望する亡命希望者たち(QuetzalliNicte-Ha/ロイター通信)

メキシコ政府は4日、昨年2000人以上の移民が麻薬カルテルやギャングに誘拐されたと発表した。

国家移民局によると、当局は昨年、誘拐された移民2115人を救出したという。

カルテルやギャングは米国を目指す移民に通行料を要求し、拒否した者を誘拐することがある。

AP通信は関係者の話しとして、「移民を誘拐したギャングが米国にいる親族に数千ドルを要求する電話をかけてきた」と報じている。

地元メディアによると、移民の誘拐事件は増加傾向にあるという。

当局は今週、米国境近くで誘拐されたコロンビア人10人の捜索を開始した。

コロンビアの首都ボゴタでAPの取材に応じた男性は、「米国に向かった両親が連絡を絶った」と語った。

それによると、男性の両親は米アリゾナ州国境を超えて亡命を申請する予定だった。この男性の従兄弟(ニューヨーク在住)が4日に誘拐犯から電話を受け、1人あたり2500ドル払えば解放すると要求されたという。

ソノラ州の検察庁は4日、行方不明になったコロンビア人10人の捜索を開始したと発表した。人々は米国境近くの町で消息を絶ったようだ。

ソノラ州では先週にもエクアドルの移民数十人が消息を絶った。当局は国境の町で人々が誘拐されたという情報をつかみ、拠点を捜索。結果、エクアドル人43人と国籍不明の移民とみられる20人を保護した。

メキシコでこのような事件は珍しくなく、警察には誘拐や失踪の相談が数えきれないほど寄せられている。

メキシコの失踪者は麻薬戦争が本格化した2006年以降に激増した。

麻薬カルテルやギャングは実行支配する地域に検問所を設置し、対立組織だけでなく麻薬とは無縁の一般市民や移民も誘拐することがある。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、メキシコにおける行方不明者数は確認できているだけで10万人を超えている。

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