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メキシコシティ国際空港の改修工事大詰め、W杯開幕近づく中

空港内ではドリル音が響き、床材や配管が散乱するなど、利用客は工事の真っただ中を通行する状況となっている。
2026年5月19日/メキシコ、首都メキシコシティのベニート・フアレス国際空港(AP通信)

2026FIFAワールドカップ開幕を目前に控え、メキシコの首都メキシコシティの空の玄関口であるベニート・フアレス国際空港では、総額5億ドル規模の大改修工事が急ピッチで進められている。空港内ではドリル音が響き、床材や配管が散乱するなど、利用客は工事の真っただ中を通行する状況となっている。それでも施設内にはワールドカップのポスターやサッカーボールの巨大オブジェが設置され、大会ムードを演出している。

メキシコシティは開幕戦を含む複数試合の開催地となる予定で、世界各国から大量の観光客が押し寄せる見通しだ。これに対応するため、空港当局は2025年に改修工事を開始した。工事には延べ3000人以上が投入され、1日20時間体制で作業が続けられている。第1期工事は90%以上が完了しているものの、老朽化したインフラが大きな障害となっている。空港の責任者はAP通信の取材に対し、施設の一部には設計図すら存在しないことを明かし、「想定以上に困難な工事だ」と説明した。

空港は長年にわたり、雨漏りや浸水、慢性的な混雑に悩まされてきた。利用客は1日12万人に上るが、十分な設備更新が行われてこなかったため、老朽化が深刻化していた。今回の改修では、ターミナル外壁やトイレ、手荷物受取設備の刷新に加え、10万平方メートルに及ぶ床材や照明の交換が行われている。また、内部構造を見直すことで待機スペースを3万平方メートル拡張し、混雑緩和を図る。

安全対策も強化された。防犯カメラは従来の2200台から4000台以上に増設され、人工知能(AI)を活用して不審車両や放置荷物、不審人物を自動検知する仕組みが導入される予定だ。さらに、ドローン対策システムの配備も計画されている。

一方で、市民からは「観光客向けの見栄えを優先している」との批判も出ている。SNS上でも、工事の遅れや混乱を不安視する声が広がっている。しかし政府側は、今回の整備は大会後も市民生活に恩恵をもたらす長期的投資だと強調している。シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領にとっても、この空港改修は国家的威信をかけた重要事業となっている。

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