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コンゴ・エボラ集団感染、WHOが警戒レベル引き上げ

今回の流行は北東部イトゥリ州を中心に発生した。
2026年5月20日/コンゴ民主共和国、北東部イトゥリ州ブニアの医療センター(ロイター通信)

世界保健機関(WHO)は22日、コンゴ民主共和国で拡大する「エボラ出血熱」について、国内リスク評価を最高水準に近い「非常に高い(very high)」へ引き上げた。感染が東部地域を中心に急速に広がっているうえ、ワクチンや治療法が確立されていない「ブンディブギョ株」による流行であることから、WHOは「過小評価は危険だ」と警鐘を鳴らしている。

今回の流行は北東部イトゥリ州を中心に発生した。WHOによると、これまでに82人の感染が確認され、約750件の疑い例と177人の死亡例(疑い含む)が報告されている。感染は数週間にわたり見逃されていた可能性があり、WHOは「実際の感染規模はさらに大きい可能性がある」と指摘している。

さらに、感染は隣国ウガンダにも拡大。コンゴから渡航した2人の感染が確認され、そのうち1人が死亡した。ウガンダ国内での感染拡大は限定的とされるが、WHOは国境を越えた拡散リスクを警戒している。

流行拡大の背景には、武装勢力が活動する不安定な治安情勢や医療体制の脆弱さがある。感染地域の一部(北キブ州と南キブ州)は反政府勢力「M23(3月23日運動)」が支配し、医療従事者の安全確保が難しい状況となっている。また、住民の間ではエボラに対する誤情報や不信感も根強く、安全な埋葬措置への反発から混乱も起きている。イトゥリ州では感染拡大を防ぐため葬儀や大規模集会が禁止された。

今回確認されたブンディブギョ株は従来の「ザイール株」とは異なり、承認済みワクチンがない点が深刻視されている。WHOや各国研究機関は、コロナ向けに開発された抗ウイルス薬「オベルデシビル」の活用可能性を探っているが、まだ限定的な研究段階にある。

国際社会も対応を急いでいる。国連は緊急支援として6000万ドル規模の資金を投入し、米国も追加支援を表明した。WHOは現在、感染追跡や検査体制の強化、市民への啓発活動を進めているが、専門家の間では「感染拡大はまだ初期段階にすぎない」との懸念も強い。

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