メキシコ政府、ICE収容下での移民の死亡について米各州に調査要請
メキシコ政府は「自国民の命を軽視することはできない」として、今後も米国内での法的措置や国際機関への働きかけを継続する方針を示している。
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メキシコ政府は14日、米国の移民税関捜査局(ICE)の施設内や移民摘発作戦中に死亡したメキシコ人移民について、米国各州の司法当局に刑事捜査を行うよう正式に要請した。対象となるのはトランプ政権発足以降に発生した一連の死亡事案で、メキシコ政府は移民取り締まりに関連して自国民17人が死亡したと説明している。その内訳はICE収容施設内での死亡が14人、摘発作戦中の死亡が3人となっている。
今回の対応の直接的な契機となったのは、テキサス州ヒューストンで先週、メキシコ国籍のロレンソ・サルガド・アラウホ(Lorenzo Salgado Araujo)さんがICE捜査官に射殺された事件である。同氏は約30年間米国で生活していた。ICEは捜査官が自己防衛のため発砲したと説明しているが、遺族や目撃者は当局の説明に疑問を呈しており、事件を巡る真相解明を求める声が高まっている。
メキシコ外務省は声明で、これまで外交ルートを通じて米政府に繰り返し説明を求めてきたものの、十分な改善が見られなかったとして、法的措置に踏み切る考えを示した。各州の検事総長に対する刑事捜査要請に加え、司法省にも協力を求めるほか、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)にも調査を要請し、国連人権理事会による検証につなげたい考えを示している。
さらにメキシコ政府は、死亡事案が発生した収容施設に対し、医療提供の不備や収容環境の改善を求める警告書を送付した。施設を運営する民間企業に対しては、過失や人権侵害が認められた場合、民事訴訟を提起する方針も打ち出しており、外交的抗議にとどまらない包括的な対応へと踏み出している。
一方、米国土安全保障省(DHS)は、拘束者には適正手続きと人道的な待遇を提供し、ICE施設での死亡件数が異常に増加しているとの指摘は事実ではないと反論している。また、ヒューストンでの発砲事件についても、捜査官の行動は正当防衛だったとの立場を維持している。
メキシコ政府は「自国民の命を軽視することはできない」として、今後も米国内での法的措置や国際機関への働きかけを継続する方針を示している。トランプ政権が進める厳格な移民政策を巡り、人権保護と法執行の在り方をめぐる両国間の対立は一段と深まる可能性がある。
