メキシコ大統領、W杯チケットの価格設定に懸念「FIFAは熟考すべき」
大会チケットは公式販売段階で140ドルから数千ドルに及び、一部のプレミアム席では3万ドル近い価格が設定された。
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2026FIFAワールドカップ(W杯)をめぐり、メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は15日、大会チケット価格の高騰について「FIFAは熟考すべきだ」と述べ、観戦機会が一部の富裕層に偏っている現状に懸念を示した。米国・カナダ・メキシコの3か国共催で開催されている今大会では、チケット価格の高さが各地で議論を呼んでいる。
シェインバウム氏は定例会見で、「サッカーは単なるビジネスではなく、人々を結び付ける社会的な役割を持つべきだ」と強調した。大会チケットは公式販売段階で140ドルから数千ドルに及び、一部のプレミアム席では3万ドル近い価格が設定された。さらに転売市場では価格が一段と高騰し、多くのメキシコ国民にとって手の届かない水準となっている。
こうした状況を受け、メキシコ政府は「ソーシャル・ワールドカップ」と呼ばれる取り組みを実施している。首都メキシコシティをはじめ各地の広場や公園に大型スクリーンを設置し、市民が無料で試合を観戦できる環境を整備した。開幕戦となったメキシコ対南アフリカ戦では、こうしたパブリックビューイング会場に約50万人が集まったと伝えられている。
シェインバウム氏自身も、VIP向けチケットを先住民族の若い女子サッカー選手に譲渡し、自らは一般市民とともに試合観戦を行った。政府はさらに数百枚のチケットを低所得層の家庭や児童、生徒らに配布し、大会をより開かれたものにしようとしている。
一方で、FIFAのインファンティーノ(Gianni Infantino)会長は価格設定を擁護する姿勢を崩していない。同氏は北米市場の需要や商業環境を踏まえた価格であると説明し、すでに600万枚以上のチケットが販売されるなど需要は極めて高いと主張している。FIFAは今大会で需要に応じて価格が変動する仕組みを導入しており、そのことも価格高騰の一因となっている。
メキシコ国内では不満の声が強い。グアダラハラで行われた韓国対チェコ戦では空席が目立ち、高額なチケット価格が観客動員に影響したとの見方が広がった。FIFAは観客が売店周辺に滞留していたためだと説明したが、ファンや市民からは「W杯が一般市民から遠ざかっている」との批判が相次いでいる。
世界最大のスポーツイベントであるW杯は、本来は幅広い層の人々が共有する祭典として発展してきた。しかし、商業化の進展とともに観戦コストが上昇を続けている。シェインバウム氏の発言は収益拡大を重視するFIFAの運営方針に対し、「誰のためのワールドカップなのか」という根本的な問いを投げかけるものとなった。
