◎アルアクサ・モスクはイスラム教で最も神聖なモスクのひとつであり、ユダヤ人の丘の上に建っている。
2022年4月15日/イスラエル、エルサレムのアルアクサ・モスク近く(Mahmoud Illean/AP通信)

エルサレムの聖地アルアクサ・モスクで15日未明、イスラエル警察とパレスチナの礼拝者が衝突し、パレスチナ人少なくとも59人が負傷した。

モスクを管理するイスラム教団体は声明で、ラマダンの早朝礼拝のためにモスクに集まっていた数千人の礼拝者とイスラエル警察が夜明け前に衝突したと発表した。

一方、イスラエル政府はモスクに集まった礼拝者が石や岩を集め始めたため、軍隊を投入し暴動を事前に封じ込めたと主張した。

ソーシャルメディアに投稿された動画には、警察が石を投げるパレスチナ人に催涙ガスとスタングレネードを撃ち込む様子が映っていた。

パレスチナ赤新月社によると、警察の攻撃で負傷した59人は病院に搬送されたという。また赤新月社はモスクの警備員1人がゴム弾で目を撃たれたと報告した。

イスラエル外務省は15日、パレスチナとイスラム過激派組織ハマスの旗を掲げる覆面をかぶった数十人がモスク内で石と岩を集め始めたため、暴力を防ぐために群衆を解散させざるを得なかったとツイートした。

アルアクサ・モスクはイスラム教で最も神聖なモスクのひとつであり、ユダヤ人の丘の上に建っている。この聖地はイスラエルとパレスチナの暴力の火種になってきた。

イスラエルではここ数週間、パレスチナ人が関与したとされる殺人事件が相次ぎ、緊張が高まっていた。イスラエル軍はヨルダン川西岸地区で軍事作戦を相次いで決行し、イスラエル人の殺害に関与したとされるパレスチナ人数人を殺害している。

15日の金曜礼拝には数万人のパレスチナ人がアルアクサ・モスクに集まると予想されている。

昨年のラマダン期間中にエルサレムで発生したパレスチナ人とイスラエル警察の衝突はハマスのロケット攻撃を引き起こし、11日間の紛争に発展した。

今年のラマダンはユダヤ教の過越祭とキリスト教の聖週間と重なるため、イスラエル政府は混乱を防止するためにラマダン前にアルアクサ・モスクへの立ち入り制限を解除し、緊張を抑えようとしていた。

しかし、ガザ地区を実効支配するハマスは今週初め、週末にアルアクサ・モスクで野営するようパレスチナ人に呼びかけ、不安をあおった。パレスチナ人は以前から、イスラエルがモスクを完全に自国の領土にするか、地域を分割するのではないかと懸念している。

イスラエル政府は現状維持に努めていると主張するが、近年、ユダヤ教の民族主義者や超国家主義者が警察の護衛付きでモスクに大挙して押し寄せ、パレスチナ人を挑発している。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、ゴラン高原、そしてアルアクサ・モスクを含む東エルサレムを占領した。それ以来、ガザ地区とヨルダン川西岸地区に追いやられた数百万人のパレスチナ人はみじめな生活を送っている。

2021年5月16日/パレスチナ、ガザ地区、イスラエル軍の空爆の様子(ゲッティイメージズ/バシャール・タレブ/AFP通信)
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